Apatia

□G
4ページ/5ページ






――…




プシュー






純は部屋へ帰ると羽織っていたロングコートを脱ぎ楽な格好になる。





そしてこの間買ってきたジャスミンティーをポットに作る。






ジャスミンの香りは純を包みリラックスさせる。





純はその香りを仄かに楽しむとテーブルに運び本を取り出すと読み始めた。







ペラ…





ペラ…






部屋には本を捲る音しかしておらずゆったりとした空気が流れる。





すると“コンコン”と扉を叩く音がしてその空気が消えた。







『…はい。』





ザ「あ、純?俺俺!ザックス!」





扉を叩いたのはザックスで純の声を聞きくと扉の外で嬉しそうにしていた。







“プシュー”という音と共にザックスが入ってきて…。







入ってきたと思った途端にはしゃぎ出すザックス。






ザ「うわぁ、すっげぇ綺麗な部屋だな!」





ザックスはそのまま部屋を見渡し純の正面のソファーに座った。






『…貴方は何をしにここへ?』






純はそう言いながら立ち上がりザックスの分のティーカップを持って来てジャスミンティーを注いだ。






ザ「何しにって純と話す為に決まってんだろ?」





さも当たり前かのようにコテンと首を傾げながらそう言うザックス。







………この天然タラシめ!!






『…何が“決まってんだろ”ですか。決まってませんよそんなこと。』





“静かに本を読んでいたというのに…”と本を再び読み出した純。






だが純が持っていた本は一瞬で無くなった。





ザ「うわッ。こんな本読んでたのかよ…。」






純が呼んでいた本はザックスの手の中。





『…返して貰えます?』





ザ「駄目だって。返したら、この本読むんだろ?」





“話す時は俺の目を見ろよ”ニカッと効果音が着きそうな程の笑顔を浮かべるザックス。







そんなザックスに純は軽く息を吐く。






『貴方は…何が話したいんですか。』





足を組み替え、ザックスの目を見ながらそう言う純。





ザ「ぁ…///」





するとザックスは急に顔を赤く染めた。





ザ「(い、今気付いたけど純の奴足出し過ぎじゃねぇのかアレ!?)」






ザックスの視線はショーパンとニーハイブーツから覗く純の白い肌…。






どおりで顔が赤く染まる筈だ。






『聞いてます?…貴方は何が話したいんですか。』






ザックスが赤くなっていること…況してやその理由など純は知る筈も無く今だにザックスへ視線を注いでいた。






次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ