Apatia

□A
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ひゅぅう……




風が吹くはビルの屋上。




そこには1人の少女…純が立っていた。




『……。』





純は何も口にせずただただビルの下を冷たく見下ろすだけ。





そして…






タンッ





ビルから飛び立つ。




その姿は儚くて…だが希望に溢れているように見えた。







『さよならです。この世界…。』





純の口がゆっくりとそう紡ぐと純の体は霧に包まれ消えていった。

















――…




純がビルから飛び降たがなかなか地面にぶつかる気配が無い。





不信に思った純はゆっくりと目を開ける。




するとそこには信じられない風景が広がっていた。







『…空ですか……。』





何事に関しても無関心な純の反応は些細なものだった。






純は空から地に向け落ちていた。





そして良く見てみると下には大きな街があり、その一角には窪(クボ)みのようなものがあった。




どうやら純はその窪みに向かって落ちているようだった。






『ふぅ…。何故空に居るのか解りませんが死ねるなら同じでしょう。』




そう言う純の体はぐんぐんと窪みに向け落ちていく。






















ドガァァァアンッ!!!!







『ッ……。』





落ちてきた純は意識があった。





“何故”と思った純は辺りを見渡す。





上には純が落ちてきた空と鉄のようなもので出来たプレートらしき物体。






純はプレートのほんの隙間から今いる場所へ落ちたらしい。






そして次に左右を見る。





辺りは空を隠されているからか…薄暗かった。




そしてチラホラある建物は随分とボロく、接ぎ木が目立つ。






最後に下を見る。






『…。』





自分の下にいたもの…生き物には無関心の純もさすがに眉を潜めた。






純の下にいた生き物とは大きな芋虫のような姿をしたもの。





どうやらこの芋虫が純のクッションになったようだ。







『汚い、ですね。』





純は芋虫の上から起き上がり服をパンパンと払う。







服の汚れを払いつつも純の視線は芋虫へ。





無表情の為何を考えているのかは読み取れない。






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