Apatia

□E
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コツコツコツ…






純が自室に向け歩いていると自室の扉に赤い影。




純の周りで赤と言えば赤いコートを着ているジェネシスか赤髪のレノのどちらかだ。





そして答えは赤髪のレノだった。





純はその影に気付いていたが敢えて知らぬ顔をして部屋に入ろうとする。






レ「Σ!!!無視すんじゃねぇぞ、と。」





レノは無視されたことにショックを受けながらも純の肩をガシリと掴んだ。






純は自分の肩を掴むレノの手を無言でペイッと払った。





『…何か??』






レノは純の問い掛けを無視し純が鍵を解いた扉から部屋の中へ。






『……。』






純はそんなレノを止める素振りも見せず自分も中へ入っていく。






部屋に置かれているソファーにはレノがだらしなく寝転がっていた。





純は尚も無視を通し買ってきたパスタやその他の食料や調味料をほぼ空っぽ状態の冷蔵庫にしまい込む。







『……。』





ふと視線を感じた純が振り返るとこちらをジッと見つめているレノ。







『…何か??』




本日2度目のこの台詞。






レ「腹が減ったぞ、と。」





『そうですか。』






遠回しに“夕食を作れ”と言っているレノに即答で冷たい言葉を返す純。







レ「おいおい。そこは普通“作ってあげる”…だろ。そんなんじゃ男出来ないぞ、と。」






『貴方…そろそろ帰りませんか??』






レ「………。」





言葉のキャッチボールが出来ないことにレノは無言になり再度ソファーにだらしなく寝転がる。







レ「……。」





『…。』






無言の部屋には純が食料等をしまう音だけ。



























ぐぅぅ…





そんな静かな部屋に奇妙な音。






レ「レノ様のお腹は限界だぞ、と。」





奇妙な音の発信源はレノのお腹。





『…。』





純は気付かれないように小さな息を吐くと立ち上がる。





その手には2人分のパスタと材料。






『生憎ながら今はパスタしかありませんよ。』





レ「お!!」





レノは顔を笑顔に歪め上半身を起こした。





純はパスタを茹で始めると順序良く食材を切り、ソースも自前で作る。






良い匂いがすると同時にムクリとレノが立ち上がり純の方へやってくる。






そして純の後ろに立ち純を抱き竦めた。





だが純はそんなレノを空気のようにしか感じていないのか気にせず調理を続ける。






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