Apatia

□H
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ザックスが眠った後純は皿を洗っていた。







コンコン…





扉を叩く音に純の手が止められる。






『(こんな時間に誰ですかね。)』






純はザックスを起こさないようにそっと扉へ向かい開けた。





プシュー






『…誰です?』





ジ「俺だ。」





扉の向こうに居たのはジェネシスだった。





ジェネシスはミッション帰りにすぐ純の部屋に寄ったのか…服装は戦闘服の赤いコートのままだった。






『…貴方でしたか。今、寝ている方が居るので起こさないように静かにして下さいよ。』





純はジェネシスを部屋に入れるとキッチンへ戻った。





ジェネシスはそんな純の背中に声を掛けた。





ジ「純が人に気を遣うとは思わなかったな…。」





純はジェネシスの言葉に戸惑った。




自分でも何故気遣ったか分からなかったから…。




この世界に来て少しずつ自分が変わってきているから…。





色んな理由が純の頭を交差する中純は“…そうですか?”と曖昧に答えた。







一方ジェネシスは、そんな純に気遣われているのは誰なのか…と苛つき、そいつの顔を見たくない反面、見たいという衝動に駆られていた。








ジェネシスはゆっくりとソファーに近付き覗き込んだ。






するとそこには全く知らない黒髪の男――…ザックスが毛布に包まっていた。





“全く知らない男”…それが余計にジェネシスを苛立たせる。






そしてジェネシスは何を考えたのかザックスが包まっている毛布に手を伸ばす。







もう少し…






もう少しで毛布に手が届く…






















『起こさないように…と言った筈ですよ。』





ジ「…誰か見ようとしただけだ。(俺としたことが純の気配に気付かなかったか。)」







『そうですか。…彼はザックス・フェアですよ。』






ジ「ザックス…。」





ジェネシスが“どこかで聞いた名前だ”と思案している横で純はワインを2人分のグラスに注ぐ。






ジェネシスはそのワインを一口飲んだ後思い出した。







ジ「…アンジールが言っていた“子犬のザックス”か。」





ジェネシスは目の前で寝ているザックスに目をやった後に純の横に腰掛け本を読み出した。





勿論その本は“LOVELESS”である。






2人は互いに本を読むかワインを飲むかだけで喋ることはなく、静かな空気が流れる。






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