Apatia
□G
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ブリーフィングルームからでた純とアンジールは静かに歩いていた。
するとアンジールが純に声を掛けた。
ア「純、お前には夢があるか?」
『愚問ですね…。そんなもの、抱いたことありませんよ。』
アンジールは純の言葉に足を止めた。
純はそんなアンジールを気にも止めずスタスタと歩く。
ア「“夢を持て”」
『……。』
アンジールは自分の前を歩く純の背中に声を掛ける。
純はゆっくりと足を止めた。
ア「“そしてどんな時もソルジャーの誇りを忘れるな”」
『…何ですか、それ。私に言いたいことがあるならはっきり言って下さい。』
振り返った純の朱い目は眼鏡により隠されているが鋭くアンジールを捉える。
ア「お前も夢を持て。そうすれば生きる意味が分かってくる筈だ。」
『(生きる意味…ですか。)』
そう心の中で言った純の頭中にはエアリスの笑顔。
エアリスの笑顔に顔が緩みそうになったがアンジールが純の頭を撫でたことで純はハッとした。
そして今も尚撫で続けているアンジールの手を払う。
『貴方には関係の無いことでしょう。“夢”…?そんなもの抱いて何になると言うのです。』
アンジールは冷たさを帯びている純の表情に釘付けになる。
『“夢”…それは響きが良いだけで実際は不確かなものです。私はそんな不確かなものに頼らず自分が思ったことは自分の力で思った通りにします。』
ア「そう…だな。」
アンジールは純の言葉に溜め息交じりに笑った。
ア「純は…良い考え方をするな。」
『……。』
純はアンジールの言葉に少し目を見開いた。
『(良い考え方…。初めて言われましたね、そんなこと。)』
純はスッと目を伏せ踵を返す。
それと同時に前方から黒い影が物凄い勢いでこちらに向かって来ていた。
?「ア〜ンジ〜ルゥ〜!!」
ア「あの馬鹿…。」
どうやら前から来る人物はアンジールの知り合いらしく、アンジールは額に薄らと青筋を浮かべていた。
?「アンジール今まで何処に居たんだ?探したんだぞ!」
ニカッと笑いながらそう言う男にアンジールは鉄拳を下した。
ア「ザックス!お前という奴は……大声で俺を呼ぶなと何度言えば分かるんだ!?」
ザ「ご、ごめんってアンジール!」
殴られた痛みで踞っているザックスという男はアンジールに謝りながらも目を純に向けた。
ザ「そういえば…あんた誰だ?」
『……。』
これが純とザックスの出会いだった。
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