妖怪と共に

□第二章
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01:花 家 院 家 登 場


 露彦は学校の下駄箱に到着していた。

「おはよう!リクオに家長さん。それに…清継くん」
「やぁ、君達…ごぶさたぁあ……あの時以来だねぇ」

 まるで死にかけているような清継。どんよりしていて気味が悪い。
 そんなことはほっといて、旧校舎の時に妖怪を見たんだと叫んでいる清継の肩を掴む。

「清継くん、あれは幻の錯覚で君が見たんだって教えたじゃないか。ねぇ、島くん」
「うんうん!!そ、そうだよ!!」

 おどおどしだす彼らにはある理由がある。それは、旧校舎の時にさかのぼる。
 気絶している清継と島を水をかけ、その上式紙の鳩に連続ビンタで起こされた。起きかけた清継と島は、夢だと思い寝ようとすると低い声が目を覚まさせた。

「お前らまだ寝んのか。宙吊りにされてぇのかねぇ」
「「ひぃ!!」」
「おりゃ」

 また水を掛けられ、鳩にビンタされたのだった。二人にとってあの恐怖は忘れなられない。
 しかも、楽しそうに笑った露彦の笑みを忘れられなかった。

「露彦くんの通りだったかも…」
「フフフ、幻じゃなくても不良と見まちがえたんじゃないかしら?たむろしてた不良がおどかしてきたんじゃない!?」
「及川さんおはよう。倉田くんもおはよう」
「おはよう露彦くん」

 まだ及川さんと倉田くんに露彦自身の説明していない。旧校舎以来で話す暇もなかった。
 あとで話しておかないと、と思っているとリクオがこっちを向いた。

「大丈夫だよ。露彦くんのことは、危険人物じゃないって話しておいたから!」

 笑顔で言うと素早く及川さんとリクオは、少し離れた所に連れて行った。

「ありがたい」

 これで説明をしなくてすむ。

「あの娘…この前一緒に行った子?リクオ君と知り合いだったのかしら」
「そうじゃないかな」

 正直に同じ家に住んでいますなんて、勘違いするだろうな。

「あの…ごめんなさい職員室はどこですか?」

 聞き覚えがある声にハッとして振り替えると知っている人物が居た。
 居ないはずの人物。

「ゆら!!?」
「露彦くん。同じ学校なんや」

 カナはこの時、露彦君が女の子を呼び捨てにするのに驚いた。
(仲が良さそうな感じ…あ、もしかして京都の友達とか?)

「まさか、ゆらが来るなんてな…修業か?」
「当たり前や!露彦に先越されたけど来たんや!」

 胸を張って言うゆらに溜め息がこぼれる。昔からだが、よく俺の真似をすることが多い。
 確かに京から出る時に浮世絵町に修業に行くことを言ったが、来るとは思ってもいなかった。
 どこまで真似をするんだか。でも、知り合いが来るのは嬉しかった。

「職員室は、二階だ。この棟のな」
「はいな、また」
「二人ってどうゆう関係?」

 様子を見ていたカナがついに聞いた。その言葉に顔を互いに見合わせて息ぴったりにこう言った。

「「幼なじみ」」
「おい…」
「なんや露彦。息なんてあわせてない!」
「俺もだ!」

 睨みつけ合う二人にカナは、ますますどういう仲なのかわからなくなった。
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