妖怪と共に
□第三章
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01:鴆 と 仲 良 く ?
長い1日が明けた。旧鼠との戦いは、気がついたら朝になっていた。
こんなに眩しいと太陽が嫌いになりそうになった。なんて辛い朝なんだろうか。
「眠い……」
「授業中全部寝てたのにまだ足りないの?」
「うん、まだ眠くてね。家長さんは?」
「私も全然寝てなくて…」
苦笑を見せる家長さんに少し罪悪感がある。陰陽師として一般人を妖怪の争いに巻き込んでしまった。もっと警戒しておかなければならない。
猫又と協力し、露彦は霊力は削がれるが、式紙を街に放ち悪の妖怪探しをさせた。猫又率いる野良猫集団を使い、悪の妖怪を排除する活動をしだした。空と陸上からの協力。
「露彦くん!寝てしまっては困るではないか!」
清継に昨日の話をしてほしいと言われても今はただ眠いだけで、瞼を閉じる。
「……奴良君は?」
反応して、急に目が覚める。忘れていた。忘れていたんだ眠たすぎて。
そのまま及川さんが走るのと同時に俺も走り出した。
◆
2人の走る足音が奴良組本家のに響き渡る。
「若〜〜すいません!!」
ドシンッ
「大丈夫かリクオ!!」
グハッ
「ん」
違和感を感じて下を見ると倒れて血を吐いてる鴆がいた。
踏んでいた足をどかしてしゃがみこんで見る。だいぶ死にかけているようだ。
「あとは俺に任せておけよ」
手をあわせて唱える。
「勝手に殺すな!!」
「生きていたのか…」
「こんな所でくたばらねーよ!!いやな奴だぜお前」
「仕方ない、何か鴆が嫌いなんだ」
「何かで踏むのかお前は!!たく、お前に構ってる時間じゃねーんでな」
よろよろと立ち上がる鴆を暫く見ていたが、すぐに倒れる。
及川さんのアタックが強かったんだろう。そっと後ろから近づいて肩を貸してやる。
「貸し一つだからな」
「いきなり優しくなってどうしたお前、気持ちわりぃぞ」
「黙ってられないのか病人が、貸しだから今度なんか奢れよ。それよりどこ行くんだ」
「あそこだ」
顎で示された場所は、出入りする者がいかにも悪い妖怪です空気を纏う妖怪達。そこは、奴良組幹部が集まる部屋だった。
露彦も幹部になったが、リクオが居ないなら出なくても良いはずだ。
それに空気が悪い部屋で居たくもない、心地が悪い場所だ。
「今の俺は人間だ。ここまでにする。あとは自分で行けよ?」
「ふ……ありがとな」
「気持ちわりぃな」
「うるせぇ」
微妙に元気になった鴆を送り、露彦はリクオの元に向かう。先程見た幹部達は、果たしてリクオをよく思っているのだろうか。
まだ、リクオは人間と見られているだろう。ふと、自分のことのように思ってしまう。
「お!露彦くんも来た所で話すとしようじゃないか!」
「みんな来てたのか」
リクオの部屋には清十字怪奇探偵団のみんなが勢揃い。リクオを取り囲んで座っている。
「ゴールデンウィークの予定を発表する!!」
旧校舎の時のようにテンションが上がる内容が清継の口から出される。
「場所はボクの別荘もある捩眼山!!今も妖怪伝説が数多く残る彼の地で…妖怪修行だ!!」
「のったぁぁあああ!!絶対行く!大賛成!!」
眼が輝き楽しそうに口を歪ませた露彦がそこにいた。