妖怪と共に

□第六章
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01:変 更 予 告 着 信


 邪魅騒動が片付き、みんなで帰る途中の出来事だった。
 突然携帯が鳴りだしただめに慌てて相手を確認すると、画面には【嘘つき竜二】の文字が表示されていた。
 急な用事かと思い鳴り続ける着信音を通話画面に切り替える。

「はいはい〜どうしたんだ」
『急に決まったことだが、随分早くそっちに行くことになった』
「え?どうしてだよ」
『訃報だをゆらに伝えることが出来た』
「…俺には教えてくれないのかな?その訃報とやらをさ」
『お前には安倍家から連絡が行くんじゃねーか?ま、お前に届くか知らねーけどな』
「知ってて、そう言うか」

 今の当主、爺さんがわざわざ連絡させるとは思えない。
 そもそもここにやって来た理由は、巻き込まれないようにするためだからだ。
何かあったら余計に言わない。
 あちらから情報が来るのはありえない事だっていうのに、竜二はきっと笑ってるんだろうな。

「はぁ、いいよ竜二は言わないってことぐらいわかったから。違う人にでも聞くようにするよ」
『学習しているようでなによりだ』
「うーるーせーよ。んで、こっちに来るのは結局いつぐらいになったんだ?」
『ちょうど月が半分の頃か』
「何言ってんだよ!それは危険な時期だってわかって」
『嫌なら京に戻ってやってもらえ。その方が安全だぜ』
「………出来るんだろうな」
『お前がへばらなかったらな』

 暫し露彦は無言になった。
 満月を希望していたのは、人間の血が活発化している時だ。
 月が満ちるほど人間の血は強くなる。同様に、月が欠けるほど妖怪の血は強くなる。半分の月、それが意味することは人間と妖怪の血が共に強いことだった。その場合、封印のさいに妖怪の血を抑えることが出来るのだろうか。

「不安だ。あいつの力が強くなっている気がする。ただの気なら、たいしたことはない…」
『………』

 でも、封印の緩みがあると危険なこともある。
 盛大に息を吐き出して深呼吸をする。

「少しは封印を強化しておかないとな!そっちの方が危険だ。竜二、改めて宜しく」
『だと思ったぜ。準備はしておく、万全にな』
「ああ」
『それと、魔魅流も連れて行く』
「はああああああ!?」
『じゃあな』
「竜二!お前何考えてんだよ!あいつは俺のこと狙ってい」

 ブーブー…

「………会いたくないっての……」

 後日、決まった日程を竜二が送りつけてくるが、魔魅流が来ることを思い出して寒気がした。
 どんな反応をして来るのだろうか魔魅流は…
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