妖怪と共に
□第一章
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02:偶 然 の 出 会 い
今日から新しい学校に通い始める。
知らない人ばかりで少し緊張してくる露彦の胸。不安もあるが楽しみの気持ちがまさる。
──一番の楽しみだと言ってしまうと、いろんな人にひかれるだろうか?
ふふふ、と不適に自然と笑ってしまう。
周りの人は近づかないように避けて通っているのも知らずに。
「こらっ!!カラス天狗!!いくら心配だからって学校まで」
「ぐっ!!」
「わっ」
目の前に居たらしい少年に鞄を振り上げられ顔面にクリーヒット。
朝から顔中が痛くなるとは、運のなさを感じて悲しくなってしまう。
「ご、ごめんなさい!大丈夫ですか?」
「痛いが…顔面直撃はなかなか出来るものじゃない。ナイスだ!」
親指を立てて突き出せば、戸惑ったような顔をする少年は茶色の髪に眼鏡をかけている。
そんなにきょとんとされても露彦としては、何か反応がないと逆に恥ずかしい。
「…本当に大丈夫なんですか?」
きっとこの男の子には、頭が馬鹿だと思われただろうな。
「うん、痛みはだんだん引いてきたから」
「良かった」
「俺より、そっちの子大丈夫?」
眼鏡をかけた男の子の後ろにいる女の子が下を向いている。
視線を落とせば拳を握りしめて震えているのがわかった。
もしかしたら、露彦と同じように鞄が顔にあたたったのかもしれない。
「大丈夫ですか?」
露彦は爽やかな笑みを浮かべて彼女を見る。
基本的に女性には優しくすることを小さい頃から、父さんから言われ続けてきた。とにかく紳士的に接することらしい。
「あ、はい。大丈夫です」
微笑して言う彼女の頬は少し赤い。きっと鞄にぶつかったんだろう。
「……リ、リクオ君……?なんの…つもりなの」
「カッ…カナちゃん!?」
怒りをあらわにしてリクオと言われた少年に詰め寄る。
──ありゃりゃこれはお怒りのようだ。
彼らは知り合いなのか名前で呼び合っている。そう言えば、先ほどこの少年はカラス天狗と言ってたような気がするが聞こえ間違えか。
──それに微かだが、近くに妖気の気配もするような。まぁ、害がない妖怪も居るわけだから大丈夫だな。
ことの成り行きを見守っているともう一人の少年が現れる。
「まかしといて!!お昼も買っとくから!!ヤキソバパンと野菜ジュースね!」
完全にこの茶色の髪の眼鏡君、確かリクオ君。利用されているとわかっているのか、なぜか笑顔で笑い肯定の言葉を言う。
君は騙されていると言ってあげたい。逆らえないのなら味方になると言いたい。
でも、今は時間が無理だった。
──キィーンコーン
「時間か、俺そろそろ行くね。また何処かで会おう!」
「あ、はい!」
「それじゃあ!!」
手を振ってその場から駆け足で職員室を目指す。
真っ直ぐに職員室に向かおうと思ったが、結局露彦は、迷子になりかけた時に先生に案内されたのは言うまでもない。