妖怪と共に
□第二章
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02:怪 奇 探 偵 団 !!
「うーん……」
ようやくの休み時間に、リクオと家長さんと一緒に廊下を歩いているわけだが、気になる事に頭を悩ませていた。
「どうしたの露彦くん?」
「ちょっと気になることがあってさ。寄り道してもいい?」
「構わないって」
「そうだよ。悩んでいるなら、早く解決したほうがいいよ」
「ありがとう」
二人に心配されていたとは思わなかった俺は、許可を得て幼なじみが居るであろう教室に足を運ぶことにする。
授業中に式を使ってゆらがどこに居るのかは把握済みであった。授業の方はまともに受けているために支障はない。
クラスの札を見上げ、目で確認する。
「ここだな」
見つけたクラスに失礼します、と言おうとすると大きな声が俺の声を遮った。
「町内の怪奇蒐集マニアの友人から買い付けた"呪いの人形と日記"がある!!」
「「えー?」」
「あれを使って!!必ずや自論を証明してみせる!!」
「本当?それ…私も見たいんやけど」
前にも合ったなこの状況。
確か旧校舎の時に清継が言ってたところに露彦が参加していた。あのころは#name#本人だったが今回は違った。彼女も同じように声を上げたのだ。
花開院家である陰陽師、花開院ゆら。表の安倍家にとっては敵対している家元の直系にあたる。
露彦の母親の原因や安倍家先祖の関係から、表としては良いものだが、裏に通じる妖怪関係に関して言えば花開院家は安倍家を敵と見なしていた。
共に歩みを初めまじめたのも、まだ最近のことらしい。とはいえ、人間の年月からして100年ぐらいだということだ。
「家長さんと奴良くん!!ちょうどいいところに露彦も居るじゃないか!!」
「え?行くのか…俺…」
「よぉーし!!のってきたぞぉ!!清十字怪奇探偵団!!今日はボクの家に集合だからな!!」
相変わらずの清継に呆れるような、だがそれこそが清継。
興味がなかったわけではなかった露彦にとって、行くのは楽しみだった。
横に居るリクオと家長さんは、顔に行きたくないと書かれているらしいが、、そっとしておこうと心に決めた。
「ゆら」
「?なんや露彦か」
「なんやってなー…まぁ、いいか。竜二は来てないのか?」
ゆらが来ているからこそ、シスコンである兄の彼はいるだろうと考える。
「もう中学生なんやで。露彦みたいに一人暮らしくらい出来なくてどないするの」
「張り合わなくてええって。ま、竜二が居ないのは驚いた」
「そうなん?」
「ちょとな〜」
ほっと息を吐き出す。
彼の兄、竜二とは花開院家のいう“妖怪は絶対の悪”をよく言う存在だ。
もし、この街に彼が来てしまったとしたら、出会った妖怪を全部滅するだろう。今来ていないというなら少しは安心が出来るというもの。
とはいえ、竜二がゆらを心配して来る可能性は捨てきれない。
「それとさ、何でゆらはそんなに俺と張り合うの?」
「同じ年のくせにみんなから強いとか、負けなしとか、なんかムカつくんや!」
「ぷっ」
「笑うな露彦のアホたん!!いつか負かしたるで!!」
シャーと喚くゆらにポンポンと頭を叩いてから手をおく。
「いつでも勝負待ってるよ」
「なっ!反則やー!」
笑顔の#name#を見て顔を赤らめたゆらを見るまで後10秒。その前に突き飛ばされる露彦まで後1秒程だった。
──なんで突き飛ばされるんだ?
乙女の心は掴めない。