短編4

□臆病者の嘘
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嘘は重ねていくごとに、真実を隠していく



それでも止められないのは



弱さ?


それとも…



















『臆病者の嘘』

















あの悪夢のような日から2週間が経った。



…あの日から1週間経った後、重症で眠り続けたスザクが漸く目を醒ました。


そして今。

スザクはベットの上で起き上がれるようになるまでになっている。



「今日もお見舞いに来てくれてありがとう」

そのベットの上で、スザクは柔らかく微笑みかけた。

笑みを受けたルルーシュも、つられるように微笑みかける。


…スザクが見えていないとはわかりつつ。


「調子、いいみたいだな」

「うん。いっぱいご飯も食べたし」


そう言って笑うスザクに、ルルーシュは寂しげに笑った。


「よかったな…」

本当によかったと思っている。
スザクの体が調子いいこと。


でも、思う。


こうして話している時、決してスザクと視線が合うことが無い。


そして、それは。

自分の責任。



そう思うと、胸が締め付けられるように痛い。



奪ったのは自分。

スザクの視力を奪ったのは。



なのに。



今こうして、スザクの微笑を受けている。




そんな資格、ないというのに。





スザクは知らない。

ルルーシュがゼロであるということ。



知らないからこそ、こうして笑顔を向けてくれる。





言わなければいけないのに。


真実を、

自分がゼロであるということを、

おまえの視力を奪った者であるということを。


でも。



「よかったな。食欲が出るってのはいいことだ」



言えない。



言ってしまえば、きっとスザクはこの笑顔を向けてくれない。


そうなれば、きっと自分は耐えられない。





だから。




「早く治ればいいな」



今日も嘘を重ねていく。







わかってるんだ。


嘘をつけばつくほど、真実を言い難くなるってことくらい。

それでも言えないのは。


きっと。





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