現代入り小説(長編)
□第七話
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夏休みなんて振り返れば短いものだ。
ただ、今年は充実し過ぎて短いものがさらに短く感じたんだ。
それも今日で終わり。
一ヶ月とちょっと続いてきた、この幻想のような日常とも……。
第七話 その幻想を……
「……」
八月三十一日、夏休みの最終日。
天原さんと約束した祭の日だ。
「外の祭かぁ……
土産話には持ってこいだな」
「でも、向こうとあまり変わる様な事でもないでしょ?」
「それでも、ほら。こんな店あったとか教えてやれば、向こうも盛り上がる――――」
「それって早苗がもうやっていたわよ」
「…………まぁ楽しめればいいかな?」
「折れたな」
「折れましたね」
魔理沙と咲夜はこれから行く祭に期待を隠せないらしく、もうリビングでソワソワしている。
ちなみに光と紅菜、天原さんとは神社で会うことになっている。
「そういやパチュリーは?」
「パチュリー様なら、部屋で用意をしていると思いますけど。呼んできますか?」
「いや、今から上に行くしついでに呼んで来るよ」
「それじゃあ、よろしくお願いしますね」
「あっそうだ、咲夜も今日ぐらいは俺に畏まらなくてもいいよ。まぁ今更って感じもするけどな」
俺に対して今までずっと敬語を使っていたけど、魔理沙と話す時はそんなそぶりを見せなかったし、どちらかと言えばあっちが素なんだろうな。
「えっ……と、うん。わかったわ」
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