現代入り小説(長編)
□第四話
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あっ、もしもし?優希か?
ちょっと困ったことになってな……。お前の家、部屋空いてるか?
うん……うん……二人入れれば十分だ。
何があったかって?話すと長くなるし、俺自身混乱してよくわからなくなってるんだ。
ああ、そっちに着いたら話す。
第四話 来訪者、再び
夏休みに入ってから一週間近くが経った。
この一週間、色々あった。
パチュリーは海に行ったことが無いと言うし、紅菜は時々服……というより衣装を持って家に来る。
本好きというので、パチュリーを図書館に連れて行ったら、三〜四時間本を読んでいた。……図書館に行く前に、夢幻堂に行かなくてよかった……。
大体は家にいるけど、買い物やちょっと出かける時にはついて来る。そんな日々が続いていた。
七月が終わり、今は八月の二日。夏休みも中盤に入った。
そんな時だった、光から電話がかかってきたのは。
「はい、もしもし?千歳ですが」
あっ、そうそう。一応、俺と紅菜でこっちの文化や電化製品等の知識はパチュリーに教えてある。
「なんだ、光か。どうしたんだよ、急に電話なんて」
なんだかえらく焦った様子の光。ここまで慌てるのも珍しいな。
「あ?部屋が空いてるかって?今使用中。本の部屋ならかろうじて二人入れるぐらいだけど」
二人入れる部屋が必要とは……天原さんも来るのか?
「なぁ、一体何があったんだ?」
慌てていて自分でも頭が整理してないらしく、こっちに来たら絶対話す。とのこと。
それだけ言うと、光は電話を切ってしまった。
「…………一体なんなんだ?」
「どうかしたの?」
「いや、友達が何だか焦った様子で家に来るって……」
「?普通のことじゃない」
「そうなんだけどな……」
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