書架の魔女の現代入り 〜urban legend Witch

□二話 『昼の校舎にて』
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BGM 禍機(原曲)

本来なら一人で向かって菫子に話を聞きに行く予定だったのだが、家を出る直前にパチュリーが向こうの世界で都市伝説異変について知っている人物の名前に行き当たったと呼び止められ。そのまま一緒に学校へと向かう事になった。

「いや、まさか身近に探し人がいたなんて……」

灯台もと暗しとはこういうことか。

「それはこっちの台詞よ。で、学校に行けば宇佐見菫子に会えるのよね?」

「んー。とりあえず今は学校に行くのが会える確率が高いってくらいなんだ」

夏期休暇……つまりは夏休みなので解放されている自習室や補講のための教室、部活動参加者が学校に居るくらいで普段に比べたら殆どがいないようなものだろう。
そもそも非公式サークルである秘封倶楽部が夏休みに活動しているのかもわからない。
むしろ学校には来ないのではないだろうか?

「……まぁ無策で検討違いの場所を探すよりはましよね」

「そういうこと。そもそも俺は会うつもりで来てないし」

会えればラッキー程度。とりあえずはニアミスしてもいいように先生に伝言を頼んではいるけど……。

「怪しまれずに中に入れた事だし、とりあえずこのまま空き教室とかを隈無く探してみよう。もしかしたらこれから来るのかもしれないし」

見学希望ということで話してみたら思ったよりすんなりと中に入れた。
突然の事だが生徒会役員がいるから任せても良いだろうと言う判断かもしれない。

「……それもそうね。上の階から探すのかしら?」

「かな。それが一番良さそうだね」

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

最上階の端の部屋から順に菫子がいないかを探していったが、案の定どこにも姿が見えなかった。

「やっぱり来てないか……」

こんなことになるなら連絡先を聞いておくべきだったかもしれない。
連絡がとれるからといって会えるわけではないけど。

「来てないんじゃ仕方ないわよ。とりあえずはお互いに顔の知っている相手っていうのがわかっただけよしとしましょ」

そう言うと踵を返し昇降口へ向かおうとするパチュリー。

「ちょっと待って、帰る前にひとつだけ見ておきたい場所があるんだ」

そんな彼女を呼び止め、今度は別棟の最上階へと足を向けた。

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