書架の魔女の現代入り 〜urban legend Witch

□二話 『昼の校舎にて』
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ーーーーーーーーーーーーーー筈だった。


BGM 開演間近(原曲)

朝、珍しく携帯の着信で起こされる。
ディスプレイに表示されるのは見慣れない番号。
恐る恐る出てみると聞こえてきたのは後輩の声だった。

『ようやく出た…!先輩、朝からすみません』

「おはよー菫子……いいよいいよ、こんな朝早くってことは夜は上手くいったんだな」

『違います!』

「……ん?」

『なんて話したらいいか……。ちょっと問題が起こりましてですね?紅魔館、パチュリーさんの住んでるところに入れなかった……いや行けなかったというか……』

「いや、昨日の夕方くらいにはその館の人に通すように話してくるって……。そこで菫子にも会ってるって話を聞いたんだけど」

『その時間は確かに会ってます。でも夜に行ったときには門番さんに帰るように言われて……』

不安そうな声色の菫子の話を聞いていると部屋の扉が開いて小柄な魔法使いが顔を覗かせた。

「菫子、繋いだままでいいから少し待ってて貰えるか?」

そう伝え、答えを聞かずにそのままスマホのマイクを遮る。

「おはよう、パチュリー。どうかしたのか?」

目の前にいる少女は目に見えて元気がない。
恐らくはこの夜の事と関係しているのだろう。

「……のよ」

「ん?」

「戻れないのよ……向こうに……。今までは眠ると絶対に戻れていたから、ちょっと不安でね」

無理して笑顔を作るパチュリー。その姿を見て、自分に何かできることはないかと思い遮っていたスマホに問いかけた。

「なあ、菫子」

『あのですね、せめてこっちの話を聞いてから……』

「菫子は幻想郷に行けなかった事ってあるのか?」

『唐突ですね……行けなかった事は無いですよ。眠れば向こう、起きればこちらです』

「なるほど……つまり今はかなり危ない状態になるのか」

『危ないってそんなわけないじゃないですか。行けなくなったら何かおかしいとは……思い……あの、もしかしてパチュリーさんが?』

「ああ、戻れなくなってるって。何となくだけど不味いかもしれない。一度こっちにこれる……って家解らないよな。前に送った所まで来てもらえるか?」

『ええ、わかりました』

プツリと通話が切れる。
そして未だ不安そうな彼女に大丈夫。とだけ伝え、急ぎ足で指定した場所へと向かった。



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