幻想郷入り小説
□プロローグ b
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完璧だった。一つのミスも無かった。転移魔法の理論は間違ってない。座標もだ。
なのに……
なのに、何故俺は見知らぬ場所にいる?
魔法使いの青年のプロローグ 〜誤作動
「にしても、ここは?」
「パチュリーさまー、成功したんですかー?」
「多分成功したはずだけど……あっ、あなたね。私に呼び出された使い魔は」
はっ?使い魔?
「ちょっと待て。何を言っている?俺は魔法使いだぞ」
「え?」
パチュリーと呼ばれている少女は驚いた表情を浮かべて、俺に尋ねてきた。
「魔法使い?それじゃあ、なんであなたが呼び出されたの?私は確かに使い魔を……」
「それは俺だって聞きたいさ。こっちは転移魔法の実験中だったのによ……」
「あなた、今なんて?」
俺の呟きを聞いていたのか、彼女は詰め寄りながら聞いてきた。
「え?転移魔法の実験をしていたんだが」
「その術式って、すぐに書き起こせる?」
「そりゃ、まあ」
羽織っていたコートの懐から手帖を取り出し、ペンで術式を書き出す。
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