幻想郷入り小説

□第四話a
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『日常』

朝、俺が目にしたのはとんでもない光景だった。
境内には酔い潰れて倒れている多くの宴会参加者。
中には酒豪もいるのだろうか、夜通し呑み続けていたような人もいる。

「てか、まだ呑んでるし……」

昨日一緒に買い出しに行った萃香も、あのあとにやって来た一本角のいかにも姐さんって感じの方と未だに呑んでいる。

倒れている人々は、魔理沙の他には……知らない人達。
…………どうするのさこれ。

「……放置しとこう。介抱したら、また呑まされそうだし」

普通に振る舞ってはいるが、二日酔いのようで頭が凄くズキズキする。
気分転換も兼ねて、大きく深呼吸をしてみた。


何だかありふれた表現だけど、空気が美味い。
一番わかりやすい感覚で言うと、『マスクをしたまま満員電車で三、四十分揺られたあとにホームでマスクを取って吸った空気』って感じ。あれの何倍も美味いけど。

しばらく深呼吸をしていると、階段を上り一人の女性が神社へと遣ってきた。

「おはようございます」

「あっ、おはようございます」

珍しく頭を下げて挨拶されたから、こちらも軽い会釈程度だが頭を下げた。

「あまり見かけない顔ですが、貴方もこの神社の参拝客なんでしょうか?」

「この光景を見てでも信仰しようと思えればそうなんだけどな……」

俺は後ろの酔い潰れた面々を横目で見て、改めて正面の女性に向き直った。

「確かに、これでは信仰云々の問題じゃありませんね……。それでは貴方は何をしに神社に?」

「話しても良いんだけど……先にいいか?」

「?なんでしょうか」

「お姉さんの名前は?」

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