幻想郷入り小説

□第五話 a
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「で、雁首そろえていったい何の用かしら?」

笑顔だが明らかに怒気を込められたレミリアからの質問に霊夢は素っ気なく「異変調査よ」と返答した。

「異変と言われてもねぇ……私達は襲われた訳なのだけど」

「そんなの知ったこっちゃ無いわよ。とりあえず、ここにいる外来人の……アトモスフィアだっけ?呼んでくれない?」

「……アトスを呼ぶ理由を聞いてもいいかしら」

「襲ってきた外来人は彼と同じ外界から来たんでしょ?となると、彼がその襲撃者を手引きしたと考えても───」

霊夢が言い切る前にレミリアは真紅の槍を霊夢の喉元に突き立てていた。

「……なんのつもりなの、レミリア」

「聞いていれば、証拠もなくアトスを疑って……言っておくが、彼は紅魔館の一員、私達にとっては家族同然なの。もしも黒幕と決めつけるなら私達はまた異変を起こすわよ?もちろん、殺すつもりでね」

「はぁ……わかったわよ。元々彼をそこまで疑ってないしね、さっきのも考えただけだし。でも、アトモスフィアは呼んでもらえる?」

「理由は?」

「襲われた後にとった対策と、次に相手がどう動いてくるかを聞きたいのよ」

そういうことなら、とレミリアは咲夜さんにユウキを呼ばせにいった。

「それで、ここにどんな被害があったの?」

「メイド妖精が被害にあったぐらいで、私達には殆ど影響はないさ。後は行けばわかるけど、正面入口が美鈴の指示で復旧中だ」

「メイド妖精は全員やられたのか?」

「やられたよ。私達が戻った時にはほぼ全滅さ」

全滅、その言葉に体が凍りついた気がした。
だけど、魔理沙はそのまま質問を続けた。

「どういう風にやられたかはわからないのか?」

「とりあえず、弾幕ごっこではないわね。多分、持ってた剣かナイフだと思うわ」

話を聞いていくうちに、自分の考えがどれだけ浅はかなのかを思い知らされる。

「弾幕ごっこじゃないって、それじゃあ本当に相手は殺す気でいるのか」

弾幕ごっこがあるから命の危険は無いだろうと思っていた自分の考えに。

「当然でしょう。妖怪とか神様ならともかく、外の人間じゃ弾幕ごっこの考えが無いんだから」

「お嬢様、ユウキさんを呼んでまいりました」

「ご苦労。咲夜、貴女もこの三人と一緒にアトスの話を聞いておきなさい」

「かしこまりました」

「勝手にかしこまるな。レミリア、これはどう言うつもり?」

「咲夜もこの異変解決に協力させようと思ってね。疑われたままじゃ、こちらとしても少々腹の虫がおさまらなくてね?」

「わかったわよ。それじゃあアトモスフィア、貴方にいくつか聞きたいことがあるのだけど……」

















「……といったところだ」

ユウキの話は少しも耳に入らなかった。

「よし、それじゃあ早速……って智也、大丈夫か?」

魔理沙の言葉に「大丈夫」と小さく頷き返事をして立ち上がり、思いっきり頬をたたいた。

「っぅーー……よっしゃ!絶対に助ける!」

「さっさと片付けて、紫に結界の補強させないと」

「とりあえず、何か今後の役に立つ魔法でも見れれば儲けもんなんだけどな」

「それではお嬢様、少しだけお暇をいただきますね」

「ああ、手早くすませてきな」

「それじゃ、はじめっから飛ばしますか!伴也、行くぜ?」

魔理沙が手を差し出してくる。顔を見合わせ、その手をしっかりと掴んだ。

「おう!」

瞬間、物凄い風が体を包む。本当に飛ばしているみたいだ。

「霊夢には悪いがこの異変、私達が解決してやるぜ」





「行っちゃったけどいいの?」

「いいのよ。ほっといても途中で捕まるわ。それよりも咲夜、あんたは大丈夫なの?」

「万全……ってわけじゃないけど、心配しないで。いつも通りには動けるから」

「ならいいわ。それじゃ、魔理沙に道中の敵を片づけてもらってさっさと黒幕を伸しましょうか」

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