私と不思議な同級生(仮題)
□遊戯王な話・春
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春、それは出会いの季節……とはよく言ったもので。高校生になった私にも近い趣味の友人ができた。
「思ったけど、私たちって特殊だよねー。先攻もらうね」
「何が?放課後集まって遊ぶなんてどこでもやるでしょ?それこそ中学とか小学校のころみんなで遊ばなかったの?どうぞどうぞ。って、うーわ……事故ったかぁ」
「うーん……その頃はルールとかよくわからなかったから、周りに合わせて買ってもらってただけかな?勝負とかじゃなくて、集めて眺める……あとは見様見真似でシャッフルしててくらいかな……。それじゃ、断札使って、手札のファランクスと、アキュリス捨てて二枚引くね」
カードゲーム。それは周りからしたら幼く見えるかもしれないけど、やってる当人たちは本気で、熱いものだった。
「くっそー!また負けたぁ!やっぱ瑠奈つよいね。どれくらい使ってるの?」
「んー発売当初だから、十年かな?高いパーツは買えないけどね。しっかりやるようになってしばらくはレヴァライダーだったし、このカード自体も拡張性があるからね。使ってみたい形のキーカードがと安く買えるときもあるし……うん。言ってみれば相棒だよ」
「いいなぁ。……それで何が特殊なの?ふつーに友達じゃん?」
「うら若き乙女たちが空き教室でカードするってのは青春……なのかな?」
「いいんじゃない?それを青春と思えばなんだって青春よ。……このひと月で色々あったからこういうゆっくりしてる時間が何より大切ってわかったから……」
「そうだね……」
私たちは二人して窓の外を眺める。ここに入学してから色々と、それはもう筆舌に尽くしがたいことの連続で……確かにこういうゆっくりとした時間は大事……
「見つけた!鳴無(おとなし)さん、大変またあの子たちが……」
「うげぇ……またぁ?なんでここまでゆっくりできないかなぁ……瑠奈、先に帰ってていいよ。多分忙しくなるから」
「うん……わかった。それじゃまたね、聖(ひじり)」
少し疲れた顔の友人を笑顔で別れる。
ただその顔には、ちょっとした喜びの色があったかもしれない。
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時は過ぎGWも過ぎたころ、周りの人たちはなんとなーくグループが出来始めてきて、昼食も放課後もそれに付随するメンバーで固まりだしてきた……といっても、このクラスはやけにトラブルが起きるから、クラス間の結束が気持ち他のクラスよりも高いのだけど。
放課後、休みの間に余っているカードを整理してたらなんとなく作りたくなったデッキを眺めていると、不意にカード越しに声をかけられた。
「るなっちー、何してんの?トランプ?」
「いや、遊戯王だよ。ひ…御堂さんは知らない?」
彼女は御堂姫(みどうひめ)。常に明るく、このクラスのムードメーカーであり、皆から愛されてるマスコットみたいな子だ。
「へーそれが有名な……。あ、このカード知ってる!!おぉ……思ってたよりきれいに光る・・・。え?あぁ……ウチの周りだとやってる子いないし、男子がするものってイメージがおおきいかなぁ。ルールも難しそうだし……。あと、ウチのことは名前かあだ名で呼んでって言ってるじゃん」
うぐぅ……ルールについては何も返す言葉がない……。
「そう、だったね。ごめん、ひめっち」
「そうそう。それでよし。それで……これどう遊ぶの?」
「もしかして、興味あるの?」
「んー……ちょっとね。ほら、友達が興味ある事ってどんなものか知りたくならない?」
「ともだ…ふふっ、ありがと。確かに人が興味持ってることって気になるもんね」
特にこのクラスだと気になることが多すぎる。
「でしょでしょー?だからさ、やり方教えて、るなっち♪」
「うん、いいよ。ひめっち」
とは言ったものの……こうなるなんて思ってなかったから普段使ってるレヴァテインのデッキは持ってきてないし。あるのはこの一つしかない。聖は……案の定忙しそうだし。
はてさて、どうしたものか……
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