私と不思議な同級生(仮題)
□遊戯王な話・秋
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10月、ウチが『遊戯王』っていうカードゲームに興味を持ち、手を出してからもうすぐ半年になる。
初めの方はルールがわからなくてちんぷんかんぷんだったけど、今は……いや、今でもまだわからない事の方が多いけど、始めたてのころよりきっと前に進んでると思うけど……。
まだ初心者の域をぬけられない。勝負に勝ちたいってわけじゃないけど、もっとしっかり対戦をしたい。
『といいつつも、負けるとへこむ癖にー』
「だって、明確に勝ち負けわかるとそうなるでしょ?」
『それはほら、決闘者(デュエリスト)特有の性ってものじゃない?つまり姫も始めたばかりとはいえ、デュエリストの自覚が芽生えてきたってことよ。関心関心』
今喋っているこの子は【六花聖カンザシ】……まぁとても簡単に言えば《カードの精霊》っていうやつだ。
小さいころからそういうものが見えていたウチはこの子の存在をすんなりと受け入れてしまっていた。
初めて買ったパックから出てきた、一枚の光っているカード…それとともにこの子はウチの元に現れた。
何かが見えるとは思ったけど、ここまではっきりと声が聞こえたりするなんて、ウチ自身びっくりしている。
「おねえちゃん!デュエルしよ、デュエル!」
「い、いきなりどうしたの妃(きさき)?」
音を立てて部屋のドアを開け、妹の妃が勢いよく詰め寄ってきた。
「おねえちゃん、5月くらいから瑠奈さんたちと遊戯王始めたから相手できるようにこっそりと教えてもらってたの!」
『おぉー姉思いの妹さんだね……』
でしょ?と心の中でつぶやく。流石に妹の前で独り言なんて心配させてしまうだけだろうし……。
反応がないことで察したカンザシちゃんはすぅっと見えなくなった。おそらくはカードに戻っていったのだろう。
「だから、デュエルしよ?」
「いいけど…今日はやけに積極的だね」
「いやぁ……その……動画のネタがなくなっちゃって……ね?」
「仕方ないなぁ…今度タピオカ奢ってよね」
「わかった!」
「それで、今回は配信?録画?」
「録画ー!もう準備できてるからあとは撮るだけなの。でも、さっき話した相手できるようにっていうのはホントのことだからね!?」
「わかったわかった。妃はこういう時に嘘つかないもんね」
「それじゃあ、私の部屋にいこ!」
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「カメラ、ライト、マイクよし!」
「ライフポイントの計算機はこのアプリのでいいの?」
「そうだね、それの真ん中あたりタップすればもう準備オッケーかな」
「他には?」
「あっ、おねえちゃん。いったんデッキとか置いてみて……うん。そうそう映り込みも大丈夫かな」
「先攻後攻はどうしよっか?」
「そのアプリにコイントス機能あるから、そこ押してー。あ、私裏で」
「はいはい……結果は表か。後攻もらうね」
「うわー、狙ってた方取られた―。悔しい……。でも、私に先攻を渡したことを後悔させてあげるよ、おねえちゃん!」
「かかってくるがよい妹よ。それじゃ…早速」
「「決闘(デュエル)!!」」
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