記念・特別編

□夏特別企画 リレー小説
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終了式も終わり、これから夏休みだ!と意気込み帰宅している途中、友人から『集合っ!』という題名のメールが届いた。
本文には、ある店の名前とその住所。
最後に、来なかったら舌入れるぞ、との脅迫紛いの一文。

一つ溜め息をつき、その住所へと足を向けた。


異世界&現代不思議録
〜夏特別コラボ リレー小説〜


扉を開けると機械音でない、懐かしのベルの音が鳴る。

「一番乗りは優希ちんか。彩音ちゃん、優希ちんに何か飲み物を」

「はいはい。優希だっけ?コーラーでいいわよね?」

「あっ、お茶で大丈夫ですよ」

「コーラーで、いいわよね?」

「いや、お茶で──」

「いいわよね?」

チャキリと、どこから出したかわからないアイスピックを掲げられ漸く理解した。
これは多分「お茶出すのが面倒だからもう出してあった、コーラーでいいわよね?」と聞いていたのだろう。

「こ、コーラーでお願いします……」

「それでいいのよ。すぐ出すからそこの貞子のいるテーブルに座ってくれる?」

「悠のいるテーブルね」

店員さんに促され、逃げるように悠のいるテーブル席に向かう。

「で、いきなりメールなんて悠らしくない呼び出しして、何かあったのか?」

「それは全員集まったら話すさ。多分もうそろそろ来るだろうしな」

全員?呼ばれたのは俺だけじゃないのか。
なんか安心した。

「はい、コーラー」

「あっ、ありがとうございます」

「というかさー、なんでウチな訳?別にいつも行っているバーでもいいでしょ?てな訳で帰れ」

「いやいや、あっちだと王様がいたりするから、こう……思い切って夏の予定を話せないんだよ」

そんなに崇さんに聞かれたくない話なんだろうか?……いや、ラスタで夏の予定なんて話してたらまたトラブルを引きつけるのか?

「まあ、いいんだけど。それで、こっちの子は?」

「あっ、千歳優希です」

「闘路やランカー、闘技場とは全く無関係の一般peopleだ。あと、学校が違うけど俺の後輩」

「藤林彩音よ。気軽にご主人様と呼んでいいからね?」



あれ、おかしいな?出会って数分で無理矢理主従関係にされそうになってるような……。

「すみません、彩音さん……でいいんですよね?」

おっかなびっくりしながら再び尋ねる。
しかし返ってきたのは

「あはは、照れちゃって。ご主人様って呼んでいいんだからね?つか呼びなさい」

「呼ばねぇよ!なんでいきなり主従関係なんだ!」

「彩音ちゃん、優希ちんは確かにいじりがいがあるんだけどな」

「ちょっと待てや、そこの貞子髪」

「あるんだけど……?あによ。アンタの物とでも言うつもり?」

いや、俺は物じゃないんですが。

「独占しちゃいけないんだよ。こういった、いじりがいがある娘は皆で共有して、いろんな楽しみ方を模索すべきだと俺は常々思ってるんだ」

「むむ……確かに一理あるわね。一人で弄ぶとどうもマンネリ化するし……。仕方ない。特別に彩音様って呼ぶのを許可してあげるわ」

「いや、譲歩したように見えて全く変わってないし。つか、悠は明らかにむすめの方のコつっただろ!」

「あによ。まだ文句あるの?」

彩音……様の怒気に当てられ救いを求めるように悠見るが。

「いや、どう頑張ってもご主人様から彩音様にするのが精一杯だから。とりあえず、ガンバ!」

とあっさり投げられてしまった。

「で、何かあるのかしら?ゆ・う・きくん?」

「あ、いや……何でもないです。彩音……さん」

追い詰められ、最後の抵抗とばかりに様づけを拒否する。
これで力に屈服かぁ、と諦めていたが、想像とは裏腹に

「ま、それでいいわ。よろしく」

との一言。

「えっ、あ……その、よろしく」

よくわからないが、とりあえず返事をしておく。対等な関係で大丈夫なんだろうか?
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