現代入り小説(長編)
□第二話
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「さてと、じゃあパチュリーの部屋だけど……」
二階に上がり、俺の部屋の向かいに案内する。
この部屋は急な宿泊客用で必要な家具は一通り揃っている。
「ここな。家具は揃ってるだろうから、心配はいらないはず。
あと、向かいは俺の部屋だから」
勝手に入らないように。と釘を差しておく。
急に入られて困る訳じゃないが、一応な。
「わかったわ。
……そういえば、優希が帰ってきた時、なにか本を持ってなかった?」
「ん?あれか……なんか数式みたいなのと走り書きのメモばっかりだったから、読めたもんじゃないぞ?」
「そう……。因みにタイトルは?」
「何だっけな……ぐ、ぐり?」
「もしかしてグリモワール?」
「そうそう、そんな感じ」
それを聞くとパチュリーは目の色を変えて、俺に迫ってきた。
「優希、それ読ませて!!」
「ど、どうしたんだ?急に……」
「グリモワールは魔導書なの。それを書いた者の魔術の集大成……」
見た感じ、そうは思えなかったけど……
「とにかく、読ませて頂戴!!」
「下のテーブルの上に置いてあるから、自由に読んでていいぞ」
「ありがとう、早速読ませてもら――――むきゅっ!?」
盛大にコケた。多分スカートに足を引っ掛けたんだろうな。
「おい…平気か?」
「だっ……大丈夫よ」
立ち上がり、ゆったりした足取りで下に向かうパチュリー。
まずは、あの服をどうにかしないと……
もしかして寝間着もあれなのか?
「けど、服を買いに行くにもな……」
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