現代入り小説(長編) 

□第三・五話
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「小悪魔、それはどういう事?」

「私が、本の整理をするのに、パチュリー様のもとを離れたんです……そうしたら…」

「いなくなっていたの?」

「はい…」

おかしい……
パチェは自分から外に出ないだろうし、出るにしても一言声をかけるはず……。
じゃあ、どこに?

「失礼しますよ」

何も無いところから声が聞こえ、その次に目の前の空間に亀裂が入り、内側から見知った顔が現れた。

「チッ……何の用だ?スキマ妖怪」

「あら、客人にそんなに恐い顔しなくてもいいんじゃない?」

「自分を客人というなら、玄関から入って来な」

「あら怖い。じゃあ、来たついでにもうひとつ。貴女の友人の魔法使いはここにはいないわよ」

「―――ッ!?
どうしてその事を……」

「まぁ、この件は私の不注意から起きたものだから先に謝らせてもらうわ。
この様な事態を引き起こしてしまい、申し訳ありません。この八雲紫、問題解決に尽力する所存でございます」

「貴女がそこまですると、何か裏がありそうで怖いのだけど……」

「形式ばった挨拶はここまでね。早速本題に入るけれど、平気かしら?」

このババア、ここで潰しておこうか?

「沈黙は肯定の意味として受け取るわね。……あの魔法使いの子はここにはいないわ」

「それはさっき聞いた。いないのはわかっているの。
早くパチェのいる場所に案内しろ」

「それはできないわ」

「……ふざけているのか?」

「ふざけてないわ。彼女はここに……幻想郷にいないのだから」







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