書架の魔女の現代入り 〜urban legend Witch

□二話 『昼の校舎にて』
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BGM マッシュルーム・ワルツ(原曲)

「ここは……?」

「図書室……というかはじめてあった場所」

借りている鍵を使い扉を開ける。

「調べてた都市伝説とかとは違うけど、何か手がかりでも残ってないかなって思ってね」

「そういえば、あの時は録に調べもせずに動いてしまったものね」

そう話をしながら室内の、恐らく彼女が弾き出されてきたであろう場所を調べる。
ただ、やはりというか手がかりはない。

「見た感じ何もないよなぁ……」

「そうね、何も感じないわ」

「魔法的な痕跡みたいなのも?」

「ええ、全然。見た通りのものしかないわ。……これで場所よりも私自身になにか起きてるっていうのが確実になっただけね」

「期待させるような真似してごめんな」

「期待も何も本命と会えなかったんだから仕方ないじゃない。他の可能性がなくなったから、何としても話を聞きたいところだけど……」

「また別の日に出直すしかないかな」

そうして図書室を後にしようとした時だった。

「……よっと。んー、やっぱりこの時間なら人はいないわね。快適快適。長期休暇ならずっと向こうに行っててもいいけど取り敢えずは学生らしく、課題ぐらいは計画立てて進めないと……」

それまで俺とパチュリーしかいなかった室内に突然、第三者の声が響く。
その声がした方へ向かうと

「……どうやってここに来たんだ、菫子?」

探していた人物がそこにいた。

「……えっ、先輩?どうしてここにいるんですか?」

「それはこっちの台詞なんだけどな……。それでどうやってここに入ったんだ?」

「……やだなー先輩が入ってくる前からいましたよ?」

「逆よ」

「何が?っていうかその子誰なんです?」

「恐らく貴女は私達が出入口の方から来たからいま入ってきたと思ってるのだろうけど、貴女の声がしたから外に出る前にこっちに戻ってきたわけ」

はぐらかそうとした菫子に対してパチュリーは淡々と言葉を並べていった。

「って言ってますけど実際どうなんですか?」

「彼女の言う通りだ。というよりも会えて良かったよ」

「……またお得意の口説き文句ですか?」

「あのなぁ、そうじゃなくて……用があるのは俺じゃなくてこっち」

「いやいや、この子とは初対面なのに何をいってるんですか?」

「初対面とはご挨拶ね?宇佐美菫子さん。
恐らく昨日……いいえ、今日の夢だとしたら一日立たずよね?」

「……夢って。まさか……嘘でしょ?今日のってなると、貴女はもしや……パチュリーさん?」

「覚えていてくれて嬉しいわ。」

「あの、それで私に用事とは?」

「私は今、貴女と同じ状態にあるの」

「同じ状態?……えっ、本当に」

「夢……いや、向こうで貴女は言ってたわよね?寝てる間だけこっちにこれるって」

「あー、確かにいいましたね。フランちゃん?を部屋から連れ出すのに着いていったときに話した覚えあります」

「今のところ向こうに戻る為には恐らく貴女の助けが必要なのよ。だから私が帰るために手を貸してくれないかしら?」

「構わないですけど……私はパチュリーさんみたいに弾幕ごっこが得意とか取り柄はないですよ?」

「今回はそういうのとは違うと思うわ。多分だけど賢者だって把握してない可能性があるし……」


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