書架の魔女の現代入り 〜urban legend Witch
□幕間A
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BGM 不滅のレッドソウル(原曲)
永遠に続くかと思われた持久戦、先に疲れが見え出したのは以外にもレミリアさんの方だった。
「チッ……思ってた以上にしぶといわね」
「ふふ……あはははははは!!そうよ、良く考えてみれば私のティンクトゥラは一度発動したら永続的に続くけれど、あなたのスペルカードは魔力を消費して放つ弾幕……。はじめからこうなる運命だったのよ!」
「……」
「あら、言い返す気力もないのかしら?それじゃあ今度こそ貴女の存在をいただこうかしら?
ティンクトゥラ、魔力を全て攻撃に……そこのコウモリを磔にしちゃいましょう」
私には魔力とかを感じる術がないけれど、空気が急に変わった気がした。
アイツ本当にレミリアさんを……。
「咲夜さん!手助けとかしなくていいんですか?このままじゃ……」
「これが魔祓師やヴァンパイアハンターとかなら私も全力で応戦しますけど、今回はそうじゃありませんし……それに、お嬢様がこんなどこの馬の骨とも知れない木っ端妖怪に負けるわけないですもの。手出し無用ですわ」
「……確かに、グングニルは弾切れよ。でもね、吸血鬼の強烈な弾幕がこれ一つだと誰が言ったかしら?」
「強がりを……」
「あなたの記憶の中のパチェはなにも言ってくれないのかしら?……まぁ当然よね、魔法使いってのは何だかんだで研究が本業な所もあるし」
「黙れっ!ティンクトゥラ、発射用意!」
結晶体の前面に光が集まっていく……これは本当にまずいのでは……。
「きゅっとしてーーー」
「……大変。菫子さん、少し離れてください」
「ど、どうかしたんですか?」
「いえ、少々お転婆なお方がここにいらっしゃるみたいなので……安全のためですわ」
「ーーードカーン!」
何を言っているんだろうかと思った矢先に先程の轟音を越える爆発音が図書館内に響いた。
「くっ……ティンクトゥラが完全に壊れてる?いったい何が起きたのよ……」
「全く……遅いわよ、フラン」
BGM U.N.オーエンは彼女なのか?(原曲)
「仕方ないじゃない!お姉さまが乱暴な起こし方するんだもの!」
「あら、そうだったかしら?」
「そうよ!……あっパチュリーだー。どうしたの?お姉さまと喧嘩?」
「違うわフラン、あれはパチェの真似をしてるだけの偽物よ」
「そーなんだー。じゃあ、遊んでいいの?」
「ええ、いいわよ。それに今日は特別。私も一緒にね」
「ホントに!?やったぁ!」
「壊しすぎないようにして、長く遊びましょ」
「ええ、ええ!はやく遊びましょ!」
「それじゃあ偽者さん。せいぜい私たちを楽しませてね?」
「いっくよー!
あなたの手札の役はなに?
ロイヤルフラッシュ、フルハウス?」
「コール、レイズ?如何する?
ドロップだけは赦されない」
「「禁役『ファイブ・オブ・ア・カインド』」」
悪魔の妹……フランちゃんが四人に増え、姉妹五人による密度の濃い弾幕が偽者へと降り注ぐ……。
「これは……確かに離れた方がいいですね……というか分身って……凄い」
「もう少し離れておきましょうか。流れ弾も危ないし……菫子さんは本物のパチュリー様がどこにいらっしゃるかご存じのようなので、終わるまでその話を伺っても?」
「大丈夫ですけど……」
咲夜さんは咲夜さんでレミリアさんのことを一切心配してない様子。
「紅茶でも飲む?淹れてくるわよ」
「あっ……お願いします」
多分心配してないのではなく、負けることがないと信じているのだろう。
だから焦るでもなく、普段通りに少しユルくこの状況を見ている。
ある意味で部外者である私は結構ハラハラしてるのに……。
「どんどんいくよー!!」
増えたフランちゃんが一斉に叫ぶ。
「かーごーめー かーごーめー
後ろの正面…… だーあれ!
禁忌『カゴメカゴメ』!」
「意地悪な蛇に 唆されて食べたなら
ここから出ていくしかないわ。
禁忌『フォービドゥンフルーツ』!」
「燃え尽きちゃっても知らないよ?
禁忌『レーヴァテイン』!」
「吸血鬼の十字架を見つけたの?
それは秘密の招待状…… 仲良く遊びましょ!
禁忌『禁じられた遊び』!」
あんなのどうしろと……?
四つの弾幕が纏めてやってくるだなんて……。
これはつくづく、味方で良かったと思う。
パッチェさんのいっていた「吸血鬼の本気」っていうのはあれのことだろうか……。
「そうね……弾幕ごっこの範疇ならあれは結構本気かしら。妹様との協力スペルなんて滅多に見られないものよ?」
「あっ咲夜さん……聞こえてました?」
「ちょっとだけね?それでパチュリー様の事、教えてくれるかしら。……私もだけど、そこに隠れてる娘がとても心配してるから」
「隠れてるって……」
「ばぢゅりーざまばぼんどにぶじなんでずがぁ?」
咲夜さんが指差した方をむくと涙で顔をぐちょぐちょにした子がこちらを向きながら何かを言っていた。
「小悪魔、嬉しいのはわかるけど……菫子さんが驚いてるから少し落ち着いてね」
「ざぐやじゃん……だっで、だっで」
「わかった、わかったから……とりあえず涙を吹いて。ね?」
「あい……」
「咲夜さん、その子って……」
メイド服とは違う、制服のようなものを来て泣きじゃくっている女性。
恐らくだけどこの人がーーー
「パチュリー様の使い魔で小悪魔よ。どう?落ち着けた?」
「……はい、取り乱してしまってすみません。改めて、私は小悪魔です。それで、パチュリー様は本当にご無事なんですね!?」
やっぱり、向こうで何度か話に聞いた小悪魔さんだ。
「ええ、大丈夫です。向こうでの事は話しますけど……」
チラリと横目で三人……いや、今は増えて六人の弾幕決闘の様子を伺う。
「その、この勝負を見てからじゃだめかな……?」
話してて吸血鬼の本気を見落とすのはもったいないというのと、偽物の正体の解明という自分の都合もあったりする。
「私は構わないわ。終わったらパチュリー様も戻ってくるのよね?それなら二回同じ話を聞かなくて済むからお互いに楽ですし……。小悪魔、貴女はどう?」
「私は……パチュリーさまが無事とわかれば話しは後でも……宇佐見さん、なにか無事とわかるものってありますか?その……手紙とか、写真とか……」
「写真……あったかな?」
スマホのギャラリーで撮影していないかを探す。
最近はあまり写真撮ってないからそこまでスクロールしないはず……。
「あっ!あったあった」
「これは……」
小悪魔さんにその写真を見せる。
ちょっと無理をいって甚兵衛をあげた時に撮らせてもらった数枚だ。
「あら、珍しいものを着てるのね」
隣でみていた咲夜さんが反応する。
「現代でずっとあの服というのも憚られたので、着なくなったものを差し上げた時の写真なんですけど……小悪魔さん?」
「よかった……本当にご無事なんですね……」
涙を溜めながら主の無事に安堵する従者。
「あぁ、すみません……。
でも、無事とわかればもう平気です。向こうで何があったのか……戻ってきたらパチュリーさまと宇佐見さんからしっかり聞かせてもらいますからね!」
特にこのお召し物のこととか、何をしたのかとか……とにかく全部お聞かせください!
とこちらに捲し立てる。
そのあまりの勢いに気圧されている私の姿をみてを咲夜さんが小悪魔さんを宥めてくれた。
「こら、小悪魔。お客様が怯えているでしょ?」
「あ……すみません……」
「いや、大丈夫ですよ」
「それじゃあ、お嬢様方が華麗に勝利する所を見に行きましょうか。流石にもうこちらまで巻き込む危険なスペルは使わないはずですし」
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