幻想郷入り小説

□第一話 a
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「あの……伴也さん。大丈夫ですか?」

「ん?ああ、平気……と言いたいけど、ちょっと厳しいかな」

今日も修業の手伝いをしてくれた橙はごめんなさいと頭を下げてきた。

「いや、謝らなくてもいいよ。手伝ってもらってるんだしさ。しかし……何も起こらないな」

「そうですね。……私じゃ役不足なのかな」

悔しげに呟く橙。目には泪が貯まっていた。

「あっ!いや、ほら……それでも橙のおかげで段々と弾幕に慣れてきたし、避けやすいようにしてくれてるんだろ?」

「はい。だって、手加減しないと……伴也さん死んじゃうから」


…………そうですか。能力が目覚める前に死ななければいいけど。

「ハァイ、頑張ってるわね。伴也、橙」

「あっ、紫さん」

「どう?修業の調子は」

「避け方は何となくですけど、能力は未だに……」

「そうなの。ねぇ橙、貴女本気出しているの?」

「だって、本気を出したら伴也さんが死んじゃうから……」

「優しいわね、貴女は。だけどそれだと彼のためにならないの。だから――――」

紫さんは橙を慰めながら、一枚のスペルカードを取り出した。

「こちらは殺す気で行かないといけないわ。……と言うわけで、全部避け切るか、能力とスペカを作り上げないと死ぬわよ、伴也。結界『動と静の均衡』」


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