幻想郷入り小説
□第三話 a
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「ほい、とーちゃーく」
神社の階段を萃香に引っ張られ、かなりの勢いで降りてきた俺は既にグロッキーだった。
「だらし無いなー、伴也は。さ、早くお酒買いに行くよ?」
二、三度深呼吸をしてから萃香の後ろを歩きだす。
「なんか、懐かしい感じがするな」
「まさか伴也は昔こっちに来たことがあるのかい?」
「そうじゃない。ただなんとなく懐かしい気がしてな」
周りの景色は日本の田舎……本当にいい時代の、昔ながらの風景の様な気がするんだ。
「外はこんな感じじゃないんだ?」
「そうだな空気は汚れてるし、水も濁ってる。それに都市化だとか言って平気で緑を自ら切り捨ててるよ……けどな、本当に綺麗な所は残ってんだ。そこだけは何者にも汚されてない、清く澄んだ空間でな」
地元じゃそこまで綺麗な所はないけど、少し遠くに……田舎とまではいかないけど、山間の町とか河原は綺麗だよな。
「それよりさ、早く買うもの買っちゃおうぜ」
「そだね」
*
とりあえず必要なお酒は買えたらしいが……萃香が人里を案内してくれるらしい。
「いいのか?時間かかるだろ?」
「いいっていいって。霊夢だって案内してたって言えば許してくれるよ」
そういうものなのか?
まあ、そのまま神社に戻るのもなんなので、萃香に着いて行くことにした。
「それじゃ、適当にぶらつこうか」
「だな」
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