Parody

□漆黒の間
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*沖田VS土方


千鶴にとっては日課になりつつある家事雑務
天気に恵まれた今日も大量にある洗濯物を干していた

「〜あと少し」
「千鶴ちゃん♪」
「きゃっ、お、沖田さん!」
「うん、その反応良いよ。君は僕の期待を裏切らないねー」

背後から沖田に抱きつかれた千鶴は手にしていた洗濯物をおとさないように必死に抵抗したが無駄だった

「そんな嫌がられると僕泣いちゃうよ?」
「そ、そんな手には乗りませんからねっ」
「せっかく千鶴ちゃんが行きたがってた甘味屋に連れて行ってあげようと思ったのに、嫌なんだ?」

甘味の一言でじたばたする身体をピタリと止め顔だけ沖田に振り返る

「本当、ですか?」
「やだな〜これが嘘言う顔に見える?」

そう言うと千鶴の目と鼻の先ぎりぎりまで顔を近づけると思った通り羞恥に耐えられなかった千鶴が降参した

「わかりましたっ、行きますから!顔近いですっ!!」
「じゃあすぐ行こう。今すぐ行こう」
「でも、まだ私仕事が残ってるので…」
「そんなの暇そうな平助君とかにやらせとけばいいよ」

千鶴の腕を優しく引くとそのまま行こうとしたが思った以上に早い邪魔が入り千鶴に聞かれぬよう軽く舌打ちをする

「千鶴、茶ぁ持って来い」
「あ、はい!」
「ちょっと待った。土方さん…千鶴ちゃんは今から僕と二人だけで出掛ける所なんでお茶くらい自分で淹れて下さい」
「総司、お前今日非番じゃねぇはずだが?」
「近藤さんからちゃーんと許可してもらったのでご心配なく」
「聞いてねぇな…」
「今言いました」

じゃあ、と再び千鶴の腕を引きその場から退散しようとしたが土方さんは見逃すつもりはないみたいだ…

「千鶴」
「は、はい」
「仕事放棄とはいい度胸じゃねぇか?」

僕が駄目なら千鶴ちゃんを引き込む作戦みたいだけど見え見えだね

「土方さんそれはおかしいんじゃないですか?彼女は小姓でなければ隊士でもありませんよ。第一土方さんには鉄之助君って小姓がいるじゃないですか」
「総司っそれは!」
「えぇっ!土方さんには小姓がいらしてたんですか?そうとは知らず私ったら差し出がましいことを…」
「これからはこの人お茶なんか持ってかなくていいんだよ?面倒臭いでしょ」

千鶴には知られたくない秘密、上から三番目を知られて打つ手無しの土方は今日だけは、静かに沖田を見送ったのだった

「僕に勝とうなんて無駄なだけなのにね」
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