ほか、いろいろ。

□かむあぶ短文
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春雨第七師団を阿伏兎が志願した理由はわかりやすい。同胞に逢うのにとても効率の良い船だからだ。
最強を巡る男達が集い、争い、臨む場所は夜兎族をも引き寄せる。鳳仙という夜兎族最強の称号「夜王」を持つ男が撒いた血の匂いにつられて、血気盛んな若い夜兎から闘いにしがみつく老いた夜兎まで…この宇宙で最も阿伏兎が愛する己の種族、夜兎に…あの男達にも再びあえるかもしれない船。


「おじさん、は誰を待ってるわけ?」

今日の第七師団には知らない匂いが紛れこんでいた。嗅いだ途端に目の前が真っ赤に染まりそうな強烈な血の匂いがだ。掃除中の何人かが未開の地から戻ってきていない。駆逐対象は夜兎が二人でかかれば時間内に無傷で戻ってこれるレベルのえいりあん。
阿伏兎は自分の胸までしかない、少女と言われても納得できそうな容貌の少年が「犯人」だと全身で感じていた。にこにこと透き通るような笑顔で阿伏兎に近づいてくる少年は間違いなく夜兎族の男だ。戦いに濡れた雄だ。阿伏兎は愛しい血との新たなる出会いに感激する心をなんとか抑え、第七師団の仕事に忠実な兵士としての仮面をかぶる。

「…アンタを待ってた」

かぶ…れ…て、ねぇーーー!!!阿伏兎は後ろから云業にまたですかと視線で突っ込まれながら頭を抱えた。阿伏兎の夜兎好きは赤ん坊から老人までそれはそれは幅広かった。明らかに強く、若く、誰にも手綱を握られていない少年など阿伏兎が涎を垂らしてもおかしくない。云業は悶えている阿伏兎の代わりに少年に質問することにした。
「お兄さん達はお仲間を待ってんだ。お嬢ちゃんと同じ肌の色したお兄さん達がもう一組…か二組、擦れ違ったろう」
「俺はそっちの地面に頭打ちつけてるおじさんに聞いたんだけどなぁ。あとお嬢ちゃんじゃねえよ、てめえよりでけぇ×××ついてるの見せてやろうかこのハゲヒゲ粗××野郎が」
そこまで言い切って少年は阿伏兎に夜兎のもう一つのシンボル、番傘の先を向ける。
「…お兄さんでもいっか。小さい黒目で遠〜くを見てたから。物欲しそうな顔してるから気になったんだ。でもそっか、俺を待ってんだ。そっかそっか」

じゃあ一発殺ろうか、ロリショタペド野郎。


ーーー
※(その他×阿伏兎を含みつつその後の力関係へのプロローグ。「そのロリショタ野郎をあんたが抱くんだよ!」と数年後に対するセルフ突っ込み作)

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