ほか、いろいろ。
□ねぇ美っちゃん
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俺は美っちゃんのことを愛している。
そんな風に言えば、世の中は勝手に誤解してくれるだろう。俺が美っちゃんに抱くこの愛を邪まなものだと!
想像できるだけに笑ってしまう。ああ面白い。奴らはわかってない。
俺のことも美っちゃんのことも全然わかってない!
俺が美っちゃんに出逢ってからというもの、どれだけ毎日が楽しかったか。どれだけ美っちゃんに救われたか、奴らは知らない。俺の中で育まれてきた底なしの愛情を誰も知らない。
…教えてないから当たり前なんだけどさぁ。
もう本能になってるよね。食欲にも睡眠欲にも邪魔できないんだよね。性欲のない愛だよ。俺は美っちゃんを純粋に愛している。
母さんにも父さんにも先生にもそこらへんに転がっているジャガイモ共には、わからない。一生理解できないさ。
俺の愛は、俺から美っちゃんへの唯一の秘密だ。だって美っちゃんにだって言ってないんだもの。愛してるって。
美っちゃんは美っちゃんで愛なんかに拘らず、いつでも俺の一番欲しい美っちゃんをくれる。
美っちゃんは本当にすごい。美っちゃんは本当に愛すべき存在だ。
悪ぶっておかしな模様に髪の毛を染めた美っちゃん。
痩せようと三日だけトレーニングして、五日後に三キロ太った美っちゃん。
校長室でイタズラしようとして、机の角で頭を切って五針も縫った美っちゃん。
ヒゲが生えてきたのを、オレも大人になったと自慢して剃らないでいる美っちゃん。
美っちゃんは毎日新しい美っちゃんとして、俺におはようと言ってくれる。
美っちゃん。愛してる。
俺はきっと一生美っちゃんのこと愛してる。
美っちゃんを愛さずに何を愛せっていうの、美っちゃん。
ねぇ美っちゃん。
今日で一緒に帰らなくなってもう十日経つんだけど、となりのソイツ、何?
ーーー
(あとがき→)