ほか、いろいろ。

□癒され系統
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おっとり、のほほん。羽織りに思わずそんな描き文字をしたくなるような、平和主義者…の見本である東仙要が「ぶん殴ってやろうかコイツ」と思うことは百年に一度あるかないかである。
…あることにはある、のだ。

それでも東仙は怒るより先に悲しくなる質なので、本当に、めったに、めったにないのだ、そんなことは。


「……だけどあの男なら殴っても許される。そんな気がしてならない自分が許せないんだ狛村…」

七番隊の隊舎、縁側にちょこんと腰を下ろし、湯のみを両手でくるくる回しながら東仙は見えない目を遠くに向けていた。

「本当に殴って、楽になってしまおうかなぁ…」

一番隊から帰ってきたばかりの狛村は、東仙の隣で冷や汗を流す射場に同情した。淡々と不機嫌を撒き散らす東仙は怖い。茶を運んだ際に捕まってしまったのだろう、射場は狛村に口の動きだけで『お願いします』と伝える。
狛村は手にしていた『七番隊へ』の書類を射場に差し出した。

「…四番隊に書類を届けてきてくれぬか」

「ハイ喜んで!…東仙隊長、失礼いたしやす」

早足で去る射場に東仙は肉厚な唇を意地悪いかたちに変える。八つ当たりと見せかけた遊びだったのだ。

「昼間からどうした?儂の副官でいやらしい遊びをせずとも、貴公には忠実な…」

「檜佐木はダメ。私の言うことを千まで信じる子だからね。無謀にも十一番隊に一人乗り込んで不名誉な戦死を遂げちゃいそうだし…射場くんはいいね、常識的で控え目で程良すぎて、狛村を普通に尊敬してていいよね」

更木が何かしでかしたほかにも、檜佐木までもが東仙を不機嫌にさせ、挙げ句の果てによその隊の副官で遊ぶという行動の原因であるらしかった。

狛村は東仙の隣に腰を下ろすと、正体は晒せぬが大きく、優しい手のひらで東仙の肩を抱いた。檜佐木が目撃すれば泡を吹いて卒倒しそうな程に甘い動作。東仙も拒絶するどころか自ら狛村の胸に褐色の頬を寄せる。

「射場を持っていかれては困る。儂で我慢しろ」
「うん…癒されるや…狛村、昼寝でもしようか」
「……半時なれば、」
「優しいね。…あの男共とは大違いだ」


更木に檜佐木よ。いったい何をし何をさせ、何を言い何を言わせたのか。


狛村は寄りかかる褐色の憂いを深く抱き寄せると、吐息が寝息にかわるまでささくれ立った心をやんわりと大きな体で包んでやったのだった。


ーーー
※(2009年のジャンプ39号?のネタバレを聞いてから勢いで書きました。ホモ未満楽しいです!)

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