小説

□握った手を離さずに……
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結婚して数日がたったある日、エドガーの用事がぽっかりと1日空き、リディアとエドガーの二人はショッピングに出かけることになった。

「リディア、リディアにはこの色でドレスを作ったら似合うと思うんだよね。あっ、こっちの色もかわいいな……」
「えぇ、奥様にはどちらの色もとても美しく着こなすことが出来ると思いますよ。あっ、こちらの方も新作の生地で今にんきなんですがどうでしょうか………」
「あぁ、そっちもいい色だね、手触りもとてもいい……ねぇリディア、君はどう思う?」
どう?って言われても……と、まだ貴族になって日も浅いリディアにはエドガーが手にしているものはどれも貴族になる前には手に出来ない代物であった。
「えぇ、かわいいとおもうわ。私がきたらもったいないぐらい……」
というと、
「そんなことないよ。店主これ全部もらってくよ。」
「えっ!これ全部?」
エドガーが全部と言ったのは軽く10種類以上あった。「はい。ありがとうございます。」
と、店主は店の奥へと駆けてった。
「エドガー、いくらなんでも買いすぎよ。私は一人しかいないのよ?こんなにたくさんのドレスなんてきれないわ。」
「いいんだよ。どれも僕の為にきてもらえたら嬉しいし、気に入らなければ後で捨てたってかまわないよ。」
「もぅ。それじゃあもったいないじゃないの。」
と、ぷりぷりと怒るとエドガーは素早くリディアの頬にキスをして、
「そんなに怒らないで、ものの例えだよ。僕が着てほしいなって思って買ったんだ。」
それに、ドレスを送るのはそれを脱がす楽しみもあるしね……と言うのはリディアの機嫌がわるくなるだろうから飲み込んだ。
「着てくれるね?」
と少し弱気に言うと、
「エ、エドガーが喜んでくれるなら……」
と、いくらか頬をそめながらリディアは言った。 



そのあと二人は買った物を馬車に乗せてショッピング街を歩きだした。
ショッピング街はあまりに人が多かったため、二人は離れないように手をつなぎながら歩いていた。
゛なんか本当にデートみたい。″
リディアはそんなことを思った。もちろんデートはデートではあるが、貴族がこのようなデートをする事はきっとないだろう。
ショッピング街を抜けて公園まで歩きベンチに座る。たくさんの人ごみの中を歩いてきたせいか手は固く握られていて意識してしまえば恥ずかしくなった。
そんなときふとエドガーがリディアのほうを見た。
その顔にはリディアの一番好きなエドガーの幸せそうな笑顔だった。エドガーの顔が近づくのを感じリディアはそれを受け入れながらずっとずっとこんな時が続けばいいなぁ〜と思いながら。
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