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□沈まぬ月夜
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痛い表現が多くありますので、観覧のさいお気を付けください。

苦情は受け付けません。












このカードが相手プレイヤーに戦闘ダメージを与える度に、カードの種類(モンスター、魔法、罠)を宣言する。相手はデッキからその種類のカード一枚を選択して墓地に送る。また、このカードを対象としたモンスター、魔法、罠の効果を無効にし、そのカードを破壊する。


なんでか俺は真っ先に戦闘での攻撃対象にされる率が激しい。
なんでだ、やっぱり効果が多いからか?

いくら強くなっても、装備出来なきゃ中盤では殴り負けしてしまうぞとマスターに何回も言われた。
その時は、軽く聞き流してたが、あぁマスターごめんなさい。
貴女の言うことちゃんと聞いてれば良かった。

まぁ・・・今更なのだが。






「なんの、冗談だ・・・混沌・・・!」
「冗談?僕は至って本気だよ?クラッド」

クスクスと、笑う混沌は決してこいつの兄には似ていない笑みを浮かべている。



あぁ、笑えない。本当に笑えない。
なんで、今俺はコイツに組み敷かれているんだ・・・!


「この手を離せ!混沌!!」
「離しても良いけど、どうせ薬で麻痺してるでしょ?」
「うるさい・・・っ!」
「素直に大人しくしてなよ。じゃないと・・・・」

スルッと混沌の片方の手が俺の手首を離れ、首元を撫でた。
瞬間、ビリッと電気が流れてきて自分の体が跳ね上がる。

「・・・・んっ!」
「ふぅん・・・?首弱いのか」
「うるさ、うぁっ!?」

思わず出てしまった甲高い声に死にたくなる。
俺は元は女ではあるが、今の俺は見間違え様のない男の姿。
発する声は高いと言っても男のもの。
しかもそれが微量な快楽を拾った声となれば尚更死にたい。

「おやまぁ・・・ずいぶん高い声が出せるんだね?」

本当の事を言われて、悔しいが言い返す事が出来ない。体が動かないというのは、精神などを混乱させるようでさっきから冷静な考えが全くとして浮かばない。

そんな俺は強がりを口にして自分の自我を保つ。
じゃないと、俺が俺で無くなる。

「うるさい・・・!触るなぁ!!」
「少し五月蝿いよ?クラッド」

そんな俺の態度に不満を持ったらしく、混沌は静かに眉をひそめ、不機嫌を表した。
ごりっとあばら骨の辺りに力をこめられ、軋んだ骨に鈍痛を感じる。
そして、これでもかと爪を腹に食い込ませ、そのまま下に下ろされる。
今度は激痛と共に、生ぬるいものが痛みに喘ぐ腹を伝った。

「・・・っ、は、ぁ・・・っ」

痛い。
ひどく、尋常ではないくらいに。
傷は、ヴァンパイアであるために、じくじくと傷がふさがってゆく。
治ってしまった傷に、混沌は再度手を当てたが、直ぐに離れた。

「・・・・・・?」

やな予感が全身を巡り、悪寒に繋がる。
目の前に立つ混沌はさっきよりも笑みを深くしていた。

「そうだ。クラッドのすべてを、うばってしまおうか」

混沌の手によって、目の前に広がる光が遮られた。






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