05/02の日記
14:37
小ネタ2
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続かなくなって、挫折した。
彼奴の不調に気が付いたのは、彼奴の笑った顔が張り付けたような、薄っぺらい作り笑いだったのと、その笑顔が歪んで見えたことからだった。
−吸血鬼−
「−−−・・・ロード、貴方平気?」
不意に、オレの顔を見ていたヴァンパイア・レディが様子を伺うかの様に覗き込んで来た。思わず視線を反らすも、まだ彼女は自分を見つめている。見ないで欲しい。気恥ずかしいとかではなく、今の体の状態を知られるのは避けたいから。
身体中が訴える息苦しさに目眩を起こしそうになる。
身体中が悲鳴をあげているのだ。
“血”が欲しい、と。
「な、にが?オレは元気だよ?」
作り笑いを貼り付けて、そう答えるしか今のオレには考えることが出来ない。
それだけ思考さえも血に犯されてしまっていた。
血を求めるこの欲は元来吸血鬼には付き物。しかし、オレは他の吸血鬼に比べれば極端に欲自体が少なかった。実際、普段の生活でも血など殆ど口にはしない。そのせいか、欲が発生してしまうと反動が酷いのだ。身体中が血を求める様になってしまう。
血は好きではない。自分が、いくら他の種族のモンスターと仲良くなっても血を求める事で自分は吸血鬼なのだと痛感してしまうからだ。その吸血鬼という事のせいで幼き頃幾つもの友人は自分の元を離れていった。『怖い』『気味が悪い』と、言い残して。
それが嫌だった。酷く悲しく辛かった。
それからだ。自分が血を求めなくなったのは。
けれど、やはり体質の問題は治せない。血を採らなければ、自分が死ぬ。アンデットと言えどゾンビやミイラとは違い、死がある。
そろそろ限界が近い。
「・・・っは、・・・っ」
苦しい苦しい苦しい苦しい。
血を、血を
誰か。誰か!!
「ロード・・・?」
「・・・・・っ!!!」
なんで、どうしてよりによって一番会いたくない。一番こんな姿を見せたくない奴が来るんだ。どうして此処にいるんだ。
「い、イービル・・・」
思わず上擦ってしまいそうな声を必死に抑えて、もう慣れてきてしまった作り笑いをした。そしたらイービルは、途端に眉を潜めオレの顔を凝視。
・・・・居心地が悪い。
(バレた、のか・・・?)
確かに、今の自分はひどい顔をしているかもしれない。目には隈が出来ているかも。
(バレているとしても、明日辺りになればオレは・・・)
多分、死んでいる。
「ほら」
いつの間にか俯いていたオレはイービルを見上げるが意味がわからなかった。
だって目の前の魔術師は己の腕をオレの目上辺りに突き出していたから。
「・・・・・は?」
普段露出の少ない服を捲りあぐて、程よく筋肉のついた血色の良い腕が露になっている。
今の自分には麻薬みたいなものなのに。
なんのつもりなのだろう。この男は。
「・・・なんのつもりだ、イービル・・・っ」
早く仕舞って欲しい。でないとその噛みごたえの良さそうな肌に牙を突き立ててしまいそう。
「飲みたいんだろ。血」
「!!」
バレていた。
でもどうして。上手く誤魔化していたつもりだ。
「んな、下手くそな笑顔作って。普段の笑顔見てる奴が見たら一目瞭然だ、バカ。お前はプリン食って笑ってりゃ良いんだよ」
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ロードが我慢してたのは同じヴァンパイアの血は駄目だし、輸入血液は誰の血かもわからないのを飲むくらいならいいやという考えからです。
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