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□疑う者と疑われる者
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とある男女が本屋で同じ本に手をのばし。
互いの手が触れ合ったその瞬間に恋が芽生える、という話がある。
人はそれを運命の悪戯だと言うが・・・。
ならば、これもその『運命の悪戯』の類だろうか・・・。
青年がいるのは、リチヤ学園内にある、図書室。
彼の目は、目の前にいる少女が読み耽っている本に向けられている。
その本の名は、『魔女狩りの歴史』。
今しがた、その本を探しに図書室を訪れたその青年は、思わぬ先客に苛立っていた。
(オレは重要なことが知りたいのに・・・。
どうせ彼女は、暇潰しか、趣味であの本を読んでるに違いない。
オレのように、本気で・・・本気で魔術師について、調べようとは思っていないくせに。)
しかし、頭の中でそのような文句を言ったところで、どうしようもない。
青年は、鞄から1冊の本を取りだし、少女の目の前に座る。
題名、『魔力調整委員会』。
昨日借りたものだ。
彼はその本に挟まれたしおりを取りだし、続きのページを読み始める。