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□猫と犬
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ティアンには親の決めた婚約者がいる。
いや・・・いた。
本人の中では、とっくにそんな契約は破棄している。
本当は、相手にも伝えなければいけないのだが、その相手人が、行方不明となり、今に至る。
早いとこ、正式に婚約を破棄して、人生の新たな一歩を歩みたいと、ティアンは思っているわけで・・・。
「部長・・・。
あの、捜してほしい人がいるんですけれど・・・。」
ティアンの言葉に、流星は読んでいた本を僅かに下ろして、ティアンを見る。
「別に構わんが・・・。」
そう言ってパソコンの電源を入れる流星。
パソコンが立ち上がったのを確認し、カタカタとキーボードを叩いていく。
「名前は?」
「えっと・・・。
『ひさたに じゅつ』です。」
キーボードを打ながら尋ねる流星に、ティアンは慌てて答える。