2SEASON
□RE最終話
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「俺はちゃんと「愛されたい」。
師や馨みたいな最後になるのは嫌なんだ。
二人の事は今もこれからもずっと大好きだけど、此処に居ても幸せにはなれないから出て行く。
さようならー」
ぺこり、と涙眼で頭を下げられて何も言い返せない二人だったが、出て行く後ろ姿に鼎が訊ねる。
「「其処」なら幸せになれるという確証があっての行動だろうね?」
賢い簓が何不自由無い生活を棄てて、確信無く出て行く筈が無い。
「蒐はきっと鼎様と同じなんだと思う」
「…!?」
何を言い出すのかという表情の円を振り返り続ける。
「ただ見てる方向が逆なだけ、俺も同じ方向を目指してみたい」
「それから。意が生きてた」
蒐と暮らしてて、鼎の事も忘れてて幸せそうだったと爆弾発言残して去る。
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二人ぼっちになった部屋が広く感じる。
思わず出してしまったカップをテーブルに置き、気だるそうな鼎に言う。
「いいのか、これで?」
「反抗期という奴かもね」
くすりと笑い、いずれ戻ってくると云う。
さほど興味が無いな、と淹れたての紅茶を口に運ぶ。
意が生きていたー。
簓よりもその事の方が重要で、簓はそれを知っているから告げた。
「円の「友人」は本当に気持ちが悪い。生まれて初めてそう思う。
…と、これは記念に感謝状でも贈るべきか?」
楽しそうに笑う鼎は簓のカップを払い、床に落とす。
冷たく割れた破片を見下ろす鼎と複雑な表情で見つめる円。
一層鼎から離れないと決意する円と、益々蒐を敵視する鼎。
意の存在にも。
今までは誰にでも「無関心」だから耐えられた。けれど鼎が「意」を好きだったから、だというなら話は別だ。
ぼんやりと意の思い出を探す。
(あの曇りの無い緑眼は、どんな苦境においてもまだ私を見下すだろうか?)
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蒐と円。命の奪還と最終バトル。
前章ラストシーンに時間は戻る。
簓はエンゼルメーカーに順応しつつある。
首輪(GPS付き)をして半永久的、犯罪のスキルを組織の為に使う。という条件で処罰を間逃れた簓は蒐の監察下、図々しく本部で生活を続ける。
組織の講義に顔を出しては教官に難題ふっかけたり、杳をからかったり、意と喧嘩したり。
蒐といちゃいちゃしたり。砦と運命的な出会いがあったり。