The Secret Garden
□The Secret Garden-06
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トーピアリの脇、遠目には可愛いらしくも見える、長い燕の尾。
セバスチャンはフィニアンを掴む手を離すと、再び何か注意した後もと来たほうへ戻っていく。
(聞こえるはずもない足音さえ感じられて)
胸から腹にかけて並んだ銀色のボタンから、目が離せなかった。
窓ガラスに指をあて、なぞる。
…っ、変なことを。
シエルは慌てて、手をひっこめた。ソファに戻り本を手にとる。柔らかい髪を撫で付け、咳ばらいをした。
「ええと、どこまで読んだっけ」
平たい金の栞を探し、文字の海から掬い上げテーブルの上に置く。
(金の栞は網のようになっていて、林檎の木が描かれている)
ポーの緻密な文章はすぐに読み手の精神を搦め捕り、その重厚な世界に織り込んでいくため、しばらくは、ページをめくる音だけがしていた。
以前ならこのまま没頭し、アフタヌーンティーの時間まで文字と時の綾を織り続けたに違いない。
…っ、はぁっ。
だが、身体に燈った切なさは、どんなに理性の風を送っても吹き消すことはできなかった。
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