The Secret Garden
□The Secret Garden-06
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燕尾服はドアの前で立ち止まる。ノックをしようとして、軽く手を握った。
…お部屋の中に、いらっしゃるようですね。
胡桃材のドアも、悪魔の力の前ではレースのカーテンの如く、部屋の中を透かして見せた。
何でもないのなら、お邪魔するべきでは…。
ソファの上に、大切な主人の姿があった。
黒い背中がハッと強張る。
…坊ちゃんが?
思わず、何か妙なもの―媚薬やいかがわしい何か―があるのではないかと、目を懲らして部屋のあちこちを見まわした。
あのような…。
再び視線の先にシエルをとらえた。
両手が白い脚にはさまれている。脚の間では切な気に指が上下し、時折熱気を孕んだ音を聞かせる。
Tropical rainforest, ふとそれを思った。
「セバスチャンッ…」
シエルはゆっくりと、左足をソファの背にかけた。ちょうど誰かの肩に、滑らかなふくらはぎを預けるように。
空色の瞳が、ドアのほうへと向けられる。
ドアが開いていないかと、夢中な行為の間隙に気にしたのに違いない。セバスチャンはぞくりとした。
華奢な脚を開きこちらを見るその姿は、まるで誘っているかのようだった。
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