BLUE in the nest

□BLUE in the nest -24
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 フィップスは目を見開いてセバスチャンの肉体を見た。透けるペールグリーンの下着の向こうに、初めて見る女陰があった。

(こ…これが…)

 セバスチャンは汗一つかかず、丹念に舌を動かしていた。濡れてもいないそれは、無機質な肌の一部だった。だが、その美しさにかえって純粋なフィップスは惹かれた。

 恐る恐る伸ばした指先が燃えるように熱い。真朱の扉、その奥の闇。触れられた瞬間、セバスチャンはぴくりと背中を反らせたが、何もなかったかのように口淫に戻った。押し戻された指を、ひだに沿って動かす。他の場所とは違う固い突起に当たる。指先で引っかくと、再びセバスチャンの背中が波打った。

 フィップスはセバスチャンを感じさせようというより、初めて目にしたものへの珍しさから幾度も指で撫でた。首を伸ばし、下着の上からそっと口付ける。

「フィップス様」

 不意に、セバスチャンが振り向いた。紅い瞳が困惑の色を浮かべて微笑んだ。

「…焦らすのが、お上手ですね」
「…っ!」

 フィップスはやにわに跳ね起きると、セバスチャンを組み敷いた。いつの間にか身体の重さは消えていた。

「あふ…っ、もう、動けるのですか」

 ペールグリーンの下着に手をかけるが、セバスチャンが押し止める。

「も…うし訳、ありません。その先は坊ちゃん専用ですので」
「くっ…、では、どうすればいい…」

 盛り上がった胸が呼吸に合わせて上下していた。吹雪の止んだ雪山のように眩しく、光の当たらない部分には神秘的な薄青い影が落ちていた。下着の上から、熱い自分を擦りつける。突く度に横に逸れ、時折小さな突起が刺激された。

「ん…あっ」

 その時突然、寝室の扉が大きな音を立てて開かれた。

「楽しんでるー?あれ、わりといい感じ?」

 フィップスは聞き慣れたはずのグレイの声にぎょっとして飛び起きた。一糸纏わぬ自分の痴態を、慌てて両手で隠そうとする。

「ふーん、もっとフィップスが一方的にやられてる感じかと思ったけど…意外と気に入った?」

 グレイはベッドに近付くと、セバスチャンの胸から腹にかけて、人差し指でなぞった。セバスチャンの瞳がグレイを恨めしそうに睨んだ。

「便利な身体だよね」
「グレイ…、俺はこいつを…男だとばかり…」
「どっちにもなれる、らしいよ」
「…何…?」

 信じられない思いで見つめるフィップスに、セバスチャンは婉然と微笑み返す。勢いをもったままのフィップスを見下ろしながら、グレイは口を尖らせて呟いた。

「女を知らないままじゃ、可哀相かと思って、用意してやったけど…」
「おやおや」
「セバスチャン、…解しておいて?終わったら、主人のところに帰してあげるから」
「仕方ありませんね」

 グレイは首のリボンタイに手をかけると、長い睫毛を上下させた。

「得意でしょ、そっちも。あの小さな主人にいろいろ仕込んでるんでしょ?」



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