Rose branches

□Rose branches -11
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2010/09/06※初NL小話 クロハン※

※『狼煙執事』のパロディです。
※ベタなノーマルラブです。クロード×ハンナです。
※8話くらいまでの情報をもとに、一部捏造しております。
※思いつきです…!



「衣装を選んでいた。クロードも何か着ろ」

 激昂していた先程までとは全く違う優しい声に気付いて、すぐ、自分の心に蓋をした。

 …嫉妬してはだめ…。

 …嫉…妬…?

 自分はどちらに、そのような思いを抱いているのだろうか…?

 クロードの剣をおさめる鞘としての自分に、例え振り向かれなくても誇りを持ってきた。アロイスと契約すると聞いたときは、そんな感情は湧かなかったはずである。いつもの捕食―…、彼がそれを行うから、自分達も生きてゆけるのだ。

(クロードは、アロイスを何とも思っていないはず)

 ハンナは知っている。が同時に、アロイスの美しい巻き毛や吸い込まれるような青い瞳の魅力も、よくわかっている。自分にはない、危うい魅力。

(ずるい魅力…)

「ハンナ」
「え…ええ」
「服を着て。幸い旦那様が置いていかれた衣装がたくさんある。このドレスはどうだ…、今夜の余興にぴったりだろう」

 軽やかな音と共にクロードが投げて寄越したドレスを、ハンナはしばらく胸に抱いていた。

「…裸のままだって構わないわ」
「仮装パーティーだ、ヌーディストビーチとはわけが違う」
「旦那様が、…いいえ、貴方が、私を見てくれるなら、どんな命にも従うわ。さっきだって」

 渇いた唇で紡ぐ言葉が、一瞬途切れる。

「さっきだって、貴方が見ていたから、脱いだのよ…」

 …貴方の冷たい瞳が、あの時は、旦那様でなく私を見ていたから…。

 クロードはしばらく黙っていたが、やがてポーカーフェイスを崩さないまま答えた。

「好きにしろ、と言いたいが……」

 メガネを外し、ため息をついてハンナを見据えた。

「私の前以外で、…脱ぐな。剣をおさめた鞘が無防備な姿を晒すのは、好ましくない」
「…」

 そう言うと、クロードはドアの向こうに消えていった。緊張がふっと消え、ハンナは朝露の重みに耐えかねた蜘蛛の巣のようにその場に座りこんだ。
 黒い絹の滑らかさを、何も纏っていない胸に心地よく感じた。

--*---*---*---*---*--

わわ、こんなので失礼致しました(;・∀・)
今日はクロ(96)の日!と気付いて、慌てふためいてこさえました。

福岡では今夜10話です!
書いていて気付いたけど、セバっさん、クロードを倒せたら「身にあまる獲物を網にかけたからですよ」とか、言いそう…!かな?


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