Rose branches

□Rose branches -15
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 慌てて立ち上がろうとするが、力が入らず、間に合わない。

「おやおや」

 シエルの履いているズボンの、真ん中より少し右側にしみが広がるのを、セバスチャンはこの上なく愉しげな顔で見下ろした。

「…っ」

 なるほど、悪魔の身体は頑丈に出来ているらしい。しばらくするとひりひりとした痛みは消え、濡れた下着の重みと冷たさだけが残った。

「怖かったのですか?」

 そう言いながら、しゃがんでシエルの服を脱がせてやった。抱き上げてベッドに横たえ、自分も横になる。

「し、シャワーを…」
「大丈夫ですよ、汚くなんかありませんから」
「…セバ…」
「ところで」

 力の抜けているシエルの手を、自分の下腹部に誘導する。

「結局、着替えはできませんでしたね」

 シエルは身を起こし、履かせたばかりのスラックスと下着を下ろした。

「…意地でも、着替えさせてやる」

 そのためには、まずこの欲求をおさめてやらなくてはならない。

「ふ、強気な…」
「お前も強気だったろう、主人の僕に対して」

 そう言うと、濡れている柔らかい先端に舌を這わせた。唾液が零れ、霜の降りた森のように、黒い茂みが光った。

 手で支え、舌の根元に引き込む。軽く歯を立てると、セバスチャンが少し腰を引くのを感じた。

「…悪魔は頑丈なんだろう」
「そんな仕返しをされるとは…流石に抜目ありませんね」
「ふ…冗談だ、‘マイロード’」

 シエルは歯を立てるのを止め、しかし激しく頭を上下させて舌を絡めた。

(僕がセバスチャンに、奉仕している…)

 恥ずかしい失態を見られたことも、今していることも、全てが身体を火照らせ、快感を高めた。

「…また、お身体に火がついたようですね」

 セバスチャンはシエルの変化を見遣り、温かい口腔から自分を抜いた。代わりに自分の指を入れると、シエルはそれを目を閉じて舐め続けた。

「ん…」
「クリスマスは、有り難くもありませんが…」

 四つん這いにさせ、濡れた指で優しく下準備をする。

「あっ…」
「ボクシング・デーなら毎日でも、構いませんね」
「…っ、待っ…、太…っ…」
「待てません…ほら、シエルももう、こんなに…」
「やっ…セバスチャン…、くっ…あっ…ああっ…」

 ボクシング・デーはシエルにも、まだまだ執事の仕事をさせそうになかった。


END

(2011/12/27)



一日遅れの、ボクシング・デーでありました…(;´∀`)
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