Gift(ありがとうございます!)
□『Happy Winter』(小説・イラスト)
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外は雪。きっと今夜あたりに積もるだろう。
けれど部屋の中は暖炉の火で暖かい。
それでも冬は温かいものを欲するのが人間というもので、
シエルもまた同様であった。
夜寝る前に一杯のココア。
それを飲みながらホッと息を吐き、自分の腕の中にいる人形を見つめてみる。
名はセバスチャン。
いつから自分はこの人形を持っていたのだろう。
気が付いたらいつも傍にいて、大切にしていた。
「お前は一体どこから来たんだろうな?」
クスリと笑いながら問いかけてみるが、あくまで人形なセバスチャンは何も答えない。
もしかしたらこの右目に刻まれている印と何か関係があるのかもしれないと考えつつも、
考えすぎかと苦笑する。
けれど1つだけ分かるのは。
「お前が一番、温かいな」
部屋の中を暖める暖炉の火よりも。
身体を温める一杯のココアよりも。
セバスチャンを腕に抱いたときが、一番温かい。
「なぁ、セバスチャン」
きっと僕らは何かで繋がっているんだな。
シエルはそっと微笑んで、眠りについた。
雪の積もった朝。
自分の頭を撫でる感触で目を覚ましたのは、また別の話し。
『Happy Winter』
おはようございます、坊ちゃん。