Rose branches

□Rose branches -36
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 重たい石の橋の下を軽やかな水がかけてゆくとき…彼らは上流からやってきて、確かに一瞬後にはその場に別れを告げているはずなのに、連続して同じ形のさざ波を作り出している。

 モス・エクレスの湖面に映る緑の葉や白い雲は、絶え間無く降り注ぐ光を浴びて、刻々と変わりながらも変わらないそれぞれの色を輝かせている。


 波のように、色のように、一つの場所に、僕は留まっている。


 確かにこうして…時間は流れているはずなのに、僕の身体に新しい血が巡り、唇が、指が、最後の曙光に到達するまで手を変え品を変え…蜜の霧に包まれた夜を熱くするのに。

 この瞳の、中では。…




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