Gift(ありがとうございます!)
□小説
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「やっぱり……雨、降ってるね…」
ガラス越しの雨音を聞きながら小さく呟くと、背中から俺を包んでいた温もりが身動ぐ。
「…ん…シロ……おまえ、雨…嫌いだったか?…」
耳を擽る少しかすれた低めな声は、俺しか知らない君の寝起きの特徴。
「ううん……特別、嫌いとかじゃないよ…ただ…ァっバロッ…」
抱き締めていた手が直接肌を滑り、耳朶を甘く噛まれて肩を震わせる。
「『ただ』?…ほら早く続き、言えよ……」
「……今日…って、七ばァっあぁ……もうっ!言わせる気ないじゃな…ッん゙ン!!」
覆い被さるように乗り掛かられ、噛み付くような口付けをされて、目を閉じた。
「馬鹿な男の話だろ?……俺なら…もっとうまく立ち回って、……恋人に逢えなくなるヘマなんかしねぇよ…」
互いの息遣いが伝わるくらいの近距離で君と目が合う。
「ッでも、やっぱり逢えないのは辛いよ………せっかくの…一年に一度だけの許された日に、雨で川が渡れないなんて………また一年待つんだよ?」
俺の言葉に君は、心底呆れたような顔で言う。