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□『私の青い蝶』『私の青い蝶2』『私の青い蝶 完結編』(小説)
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「私の青い蝶2」


 ハァハァハァ・・・荒い息遣い・・・
 裸体の身体を重ね、愛し合うシエルとセバスチャン。
 ここは、シエルの屋敷ではない。
 セバスチャンが何れシエルの魂を食べた後、シエルの屍を安置しようと、用意していた人間界と魔界の中間地点にあるセバスチャンの屋敷。
 しかも二人は青い蝶がシエルで、黒いアゲハ蝶がセバスチャンの変化した姿・・・
 薄暗い寝室でも、殆ど全裸になる事のないセバスチャンが、まだ太陽は出ているのに、裸体になっているのだ。
 裸と裸・・・セバスチャンが自分との情事に息を荒げ、熱い身体を持て余しているのが、シエルには嬉しかった。
 悪魔二人とアロイスに歪められた二人の契約は、終わる事はない・・・
 もう二度と、セバスチャンがシエルの魂を喰らう事は叶わぬ・・・ならば共に在ればいい・・・それがシエルの下した決断。
 セバスチャンが不服と感じ様が「契約が終わるまで、永遠の執事」と再契約した様なモノだから、否やは言う事が出来ない。
 シエルの命令には、二度と逆らう事は許されない。
 「セ・・・セバス・・・」
 シエルはセバスチャンに散々啼かされ、悪魔になっても、セバスチャンの性欲の強さについていけない。
 (この・・・エロ悪魔・・・どれだけ僕を啼かせたら気が済むんだ!)
 悪態は心の中だけ・・・
 「坊ちゃん・・・私が貴方に飽きるとでも?クロードさんに奪われ、ハンナさんに散々、撫でくり回され、揚句に貴方の魂ごと2重契約まで・・・私があっさり引き下がるとでも?」
 セバスチャンの目は紅くランランと、怒りの様相で燃えている。
 「フン!お前が間抜けだからだろう?記憶を失くした僕は、言った筈だ!どんな事をしても僕を守れと!僕を放置していたお前が悪い!」
 「いいえ、貴方が動かれるから、こんな事態になった「もういい!もう僕は人間に戻る事は二度とないんだ!お前は僕の魂を二度と喰らえない!失ったモノは二度と戻らない・・・解っているだろう?セバスチャン。お前が僕に言ったんだから・・・」
 「イエス・マイロード・・・」
 セバスチャンは一瞬、悲しげな顔を見せた。
 それは、修道院への潜入調査時に、シエルが天使のアンジェラに攫われ、グレルと共に行動し、ウィルの協力で、シエルを取り戻した時に見せた笑顔・・・
 悪魔らしからぬ優しげな笑顔。
 天使を殺し、全ての復讐を終えたと感じ、シエルがセバスチャンへ魂を差し出した時に見せたいつもと違う笑顔。
 「もう暫くお仕え致します・・・」
 それだけ告げ、膝を折り、そのまま屋敷に連れ帰ったセバスチャンの何時もの嫌味たらしさのない儚げな笑顔・・・
 シエルはドクンと心臓が高鳴る気がしていた。
 「もうそんな顔はするな・・・」
 自分を抱くセバスチャンに抱きつき、キスを強請るシエル。
 二人の身体は繋がったままだ。
 身長差がある為、セバスチャンは無理な体勢を取らなければならない。
 それでも、セバスチャンはシエルに所有の証を刻み付ける。
 二度とシエルを失う事のない様にと・・・
 「ああん・・・」
 堪らず、シエルは嬌声を上げた。
 深く繋がった身体は、淫らにセバスチャンを求め、締め付け、高みを目指す。
 「シエル・・・シエル・・・」
 本来の主の名ではないが、自分だって「セバスチャン」は偽りの名だ。
 「セバスチャン・・・」
 激しくなる律動に、息も絶え絶えなシエル。
 セバスチャンに翻弄される。
 「もう・・・早く・・・壊れる・・・」
 「大丈夫ですよ、壊れたら、何度でも治して差し上げますから・・・」
 悪魔の目をしたセバスチャンにシエルは、引きこまれる。
 「もう二度と離さない・・・お前を愛してる・・・」
 激しい快楽に翻弄されながら、涙で霞んだ目で宣言するシエル。
 「ええ・・・私も二度と貴方を離しませんよ。私から逃げようとすれば、二度と逃げれない様に、この羽根を奪って、飛べなくして差し上げましょう・・・」
 「愛していますよ、坊ちゃん・・・未来永劫、この命が続く限り・・・」
 「それでいい・・・」
 両親をタナカ以外の屋敷の使用人達全てを失い、孤独に生きたシエルは、孤独に生き続けた悪魔セバスチャンと出会ってしまった。
 二度と手をはなせない程に二人は互いを欲した・・・
 永遠に・・・
                                FIN
H23.12.22 P11:50


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