Gift(ありがとうございます!)

□『私の青い蝶』『私の青い蝶2』『私の青い蝶 完結編』(小説)
3ページ/3ページ


 「私の青い蝶・・・その後」
 「ああっ・・・もうイケ・・・」
 薔薇の花ビラの中、愛し合う二人・・・
 シエルはセバスチャンに組み敷かれているのだから、背中には、花粉がベットリと付いていた。
 甘い匂いが立ち上り、益々、セバスチャンを昂ぶらせていく。
 「やぁぁぁ・・・そんな大きく・・・」
 「無理ですよ、坊ちゃん・・・貴方が私を・・・くぅぅ・・・」
 シエルの強烈な締め付けに、セバスチャンは欲望を放つ。
 「はっあっっっっ」
 シエルは体内の奥深い所で、セバスチャンの白濁を受け止めていた。
 疲労の為、ぐったりしている。
 「坊ちゃん・・・」
 セバスチャンは、優しくシエルにキスする。
 触れるだけの労わる様な優しいキス。
 「馬鹿・・・」
 チュッとキスし、直ぐ離れるセバスチャン。
 そんなセバスチャンに業を煮やしたシエルは、セバスチャンの首に手を回し、引き寄せ、キスを仕掛ける。
 甘い甘いシエルの芳香に、セバスチャンはクラクラ酔いそうだった。
 偶には、キザな事を言ってみる。
 「坊ちゃん、貴方に酔いそうです・・・」
 決まった!と内心思っていたセバスチャンなのだが
 「・・・」
 シエルは、憮然とした顔・・・
 「酷い坊ちゃん・・・」
 溜息をつきながら、肩を落とし、がっくりするセバスチャン。
 「クックックッ・・・あはは・・・お前のそんな顔初めて見た・・・」
 嬉しそうなシエルの笑う顔。
 セバスチャンは目を丸くして凝視していた。
 「初めて見ますよ・・・貴方のそんな笑顔・・・心から嬉しそうな年相応の笑顔」
 そうシエルは13歳の無邪気な子供が、時折、見せる屈託のない笑顔をセバスチャンに晒したのだ。
 「だって面白いだろう?僕の上に立ってるつもりが、いつまでたっても、僕の上にはなれないのだから・・・それに全ての柵から、解放されたと言っただろう?何か、全てが馬鹿馬鹿しく思えてならんのだ。死ぬ事で、全てから逃げる事が出来ると思ってたのに・・・今は、お前と共に、何時までも生きたいと想う。こんな僕は嫌いか?傍にいるに値しない存在か?」
 「いいえ、私は貴方を捕らえたつもりで、貴方に囚われたのですよ。どこまでも、貴方のお傍に・・・貴方の命の続く限り・・・これは、最初の契約ですから、何処までも、永遠にお傍に在りましょう・・・所で、このままでも良いのですが、きちんとベッドで愛し合いたいのですが?御許し頂けますか?マイ・ロード?」
 「一々、そんな事を聞くな!言わなくたって解ってるだろう!」
 シエルは何度セバスチャンに抱かれても、少しも慣れる事はない。
 いつもドキドキと心臓が激しく高鳴り、死んでしまう程の快楽に堕とされるのだ。
 「貴方の御口から、聞きたいのですよ?貴方こそ、私を求めて下さっているのか、時々不安になるのですから・・・」
 何時になく、弱弱しげなセバスチャン。
 今回の件で、打ち拉がれているのは、セバスチャンの方だ。
 自分の失態が招いた悲劇・・・シエルは悪魔として蘇った。
 一度人としての生を終えたが、ハンナの横やりで、二度とシエルの魂は喰らえない。
 クロードの仕組んだ罠に見事に嵌ったばかりか、女であるハンナにも、翻弄されたセバスチャン。
 「愚かで間抜けな悪魔セバスチャン・・・」
 シエルの評価は、最もだ。
 何度ベッドでシエルを啼かせたとしても、セバスチャンは満足する事はないだろうと想われた。
 悪魔にとって自分の身体は武器でもあり、人を誑かす為だけのモノ・・・どんな美人と寝ようが、何ら感じる事などない。
 相手を誑かす為だけに、感じた振りをすればいい・・・
 しかし、シエルだけは違ったのだ。
 自分が持っていかれそうになるのだ。
 シエルと言う甘い毒に犯される気分なのだ。
 それでも、明るい光の中、いつまでもここにいるつもりはない。
 シエルは闇が良く似合う。
 アロイスとシエルの性格の違いが、色の好みまで反映される様に・・・
 体内から光を放つ様なシエルに溺れてしまう。
 人間を虫けらだと思っていたのに、まるで内側から、光輝き、悪魔を吸い寄せるシエルと言う存在・・・今は、悪魔になってくれて良かったと想う。
 何処までもセバスチャンの身体に合うシエルの身体・・・まるでセバスチャンの為に、産まれて来た様な存在のシエル。
 セバスチャンは全裸で抱き合った時のまま、寝室にシエルを運ぶ。
 ベッドに辿り着く頃までには、元の大きさに身体を戻していた二人。
 そのまま、縺れる様に、ベッドに倒れ込む。
 お互いが相手を欲しているのだ。
 悪魔となり、セバスチャン程ではないが、人であった時の体温は、幾分かは、下がっていたシエル。
 セバスチャンの腕の中だけでは、以前の様に熱くなる。
 誤魔化し様のない身体の変化・・・
 「フフ・・・そんなに感じて・・・今からそそれだと持ちませんよ・・・」
 シエルの幼いモノは、セバスチャンの愛撫に感じ、悦びに内震えていた。
 「そんな事言うな・・・恥ずかしいだろ?」
 「恥ずかしい?悪魔に羞恥心などあり得ませんよ?私達はそれ程、複雑な感情を持ちえない・・・貴方は悪魔になっても変らない・・・もっと早く気付けば良かったですね。」
 「当たり前だ、僕はシエル・ファントムハイヴなんだから!」
 シエルの笑顔にハッとするセバスチャン。
 「イエス・マイロード!」
 運命の悪戯はシエルを悪魔とし、セバスチャンの孤独を癒す存在となった。
 シエルは、セバスチャンに求められる事で、自分が生きる意味を知った。
 (お父様、お母様・・・僕は、セバスチャンと生きていきます。復讐を終え、無に帰るつもりでしたが、運命の悪戯は僕を生かす道を選んだみたいです。もう二度と、貴方達には会えませんが、セバスチャンの傍で生きていきます・・・命の続く限り・・・)
シエルはセバスチャンの腕の中で、花開く。
 穢れ無き白薔薇の様に、気高く美しく・・・
                             FIN
H.23.12.29      P11:45


「私の青い蝶」を拝読して、是非こちらの設定で続編を!と厚かましくもお願いしましたところ、翌日に2をUPして下さいました><
さらに素晴らしい完結編を…!
九条静音さま、ありがとうございました!!


前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ