Rose branches
□Rose branches -08
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「……?」
白い洋服箪笥の引き出しを二度ずつ確かめた後、扇形の取っ手を、鍍金が剥げるほど見つめた。
隣に突っ立っているクローゼットも開け、服をかき分けて探す。
ない。
遺失して慌てるほど高価なものではないが、枚数があるわけではないので、それがないことはすぐにわかった。一体、どこへ仕舞ったのだろう。
酔った勢いで、どこかで脱ぎ捨ててしまったのか。いや、仲間の粗野な武官ならいざ知らず、自分がそんな飲み方をするはずがない。
裁縫が趣味のフィップスは、衣類をいつも大切に扱っていた。そう、今探している、さほどの硬貨を払ったわけではない一枚の下着でも。
どこへやったのだろうと考えながら、クローゼットを閉め、仕方なくもう一度引き出しを開けて別の下着を取り出す。
着替えを取りに行ったまま、なかなか戻らないフィップスを気にして、グレイがドアの向こうから顔を覗かせた。
「フィップス?」
「あ…あ」
「…どうかしたの?」
「いや、なんでもない」
「ボク、先にシャワールームに入ってるから、早く来てよね」
「ああ、すぐ行く」
下着を手に、部屋をあとにする。そのままグレイのもとへ向かおうとしたが、ふと、ベッドの上か、その付近にあるのではないかと思い寝室へ入った。
暗い寝室の中で、グレイの寝床にと設えている大きな籠が白く横たわっていた。そういえば、帰ったとき珍しく籠の中で寝ていたなと思い、何気なく中を覗き込んだ。
「…あっ」
「フィップス…」
下着の上から、何度も手で触れる。
「おっきい」
白い布の下から浮かび上がる、その形。先端の弾力のあるところを指の腹で繰り返し押すと、透明な粘液が小さなしみを作った。そっと下着をずらし、口に含む。
(フィップス、の…)
いつ見ても、大好きだと思えるそれに、一心に舌を這わせる。暗がりに隠れた柔らかい部分を手で弄びながら、くわえて頭を動かす。
「…もう、いいから」
「にゃあ、何で…抜かないで?」
フィップスはグレイを抱き上げ、髪の中のふわふわとした耳を指でなぞった。
「…イきそうだ」
「…、じゃあ、続ける」
グレイはそれを聞くと、フィップスの腕から逃れ、再び屹立したそれのところへ戻った。
「グレイ、」
「お口で…出してほしい、にゃあ」
「…っ」
駄目だ、と言おうとしたが、グレイの決意は固いらしい。
亀頭のすぐ下をくすぐるように舐める。全体を舌で濡らし、奥まで含んで激しくしゃぶる。陰嚢を手で包んで、刺激するのも忘れない。フィップスの敏感なところは、知っている。
「…、出るぞ…」
唇の間で、根元がぐっと固さを増した。喉の奥に熱いものが広がり、瞬間、その味が他の感覚を麻痺させ、自分の全てを支配する。
「…かはっ…、は…ぁ…っ」
顔を上げたグレイの唇の端から、白いものが僅かに零れた。
「んん…っ」
「大丈夫か?」
「ん…」
グレイは口を拭うと、放心しきったような表情で、満足げに荒い息を吐いていた。
「これ、飲んだら、にんしんする?」
フィップスはグレイを寝かせると、愛おしそうに口付けを落とした。
高価な毛皮の作り物のような耳や、血色のよい頬、皮膚の薄そうな細い首。
小さな舌が奏でる、甘えた声と綿毛のような喘ぎは、性別などという些細なことを、忘れさせはするものの。
「ん…っ、飲んだだけでは、しないぞ」
もちろん、経路が異なるだけの話では、なく。
「わ…わかんないよ、毎日、んっ…フィップスの、精液、いっぱい、出されたら、にんしん、するかも…」
指を濡らして、子供が産まれるはずのないそこを優しく解す。グレイの中は二本の指をすんなりと受け入れ、奥へ奥へと引き込んだ。その狭い感触は、そこを犯したときの感覚を下半身に蘇らせた。
「にゃんっ…」
「…入れるぞ」
「ああっ……。入って、くる…!フィップスの…っ、太いの…っ!」
「…妊娠したら、ちっちゃな子猫がたくさん生まれるな」
「にゃあっ…そん、な…っ」
軽やかな尻尾が大腿に絡み付き、体毛の上を行き来する。
「グレイ、…くすぐったい、集中できない」
「…うう」
笑いを噛み殺しながら囁くと、グレイは尻尾を下ろし、代わりにフィップスの背中に細い腕を回した。
両脚を持ち上げて、更に深く突き上げる。
「あっ…!ああ…!フィップスの…っ、中で、動いて…っ…。もっと…も…っと…!ああっ…」
ぞくぞくと震えるたびに、自分の中から何かが溢れるのを感じる。
「こっちも…ここも、ぐちょぐちょだな」
「はっ…ぁん…っ、そこ、握っちゃ、だ…め…そんな、強くしな…っ…ああっ」
二箇所を同時に攻められ、グレイは自分の顔にかかるほど勢いよく精液を飛ばした。フィップスを受け入れているそこが、きりきりと締まる。
「…っ」