ReBirth
□ReBirth -01
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「苦手だ…あの二人」
眼帯を外され、瞼に口付けられながら、熱い唇で呟く。
「ソーマ様と、アグニ殿ですか?」
「あ…んな信心深い奴等、この屋敷には似合わん」
そういえば、使用人達の中に、毎週日曜ミサに出かけるような信仰の深い者はいない。彼らの過去を考えれば、当たり前かもしれなかったが、セバスチャンはそんなところも考えて選んできたのだろうかと思った。
「ファントムハイヴからは、天は遠い…」
セバスチャンの脳裏に一瞬、雪景色が浮かび、シエルの身体の前にかき消えてゆく。
「さあ、でも…あの二人も『こういうご関係』かもしれませんよ?」
「…っ」
「もしもそうなら、私達の間柄もそれと悟られているかもしれませんねえ…」
「ば、か…」
(そうして、二人、どんどん天から離れてゆく)
セバスチャンの右手が、シエルのそれをゆっくりと撫でる。
「人間なんて勝手な生き物ですね…いい事は神の、悪いことはいつだって私達のせいにするのですから…?遠すぎて見えない、何者かのせいに…」
「…僕には、お前は見えているが、それでも…遠く感じる」
ふと、動きを止め、シエルを仰向きに寝かせその瞳を見つめる。
「遠い…?」
「…、なんでも、ない…」
「こんなに、お傍にいるのに…?」
柔らかい大腿を持ち上げ、熱い自分自身をその奥に届ける。
「ん…はっ…」
「感じますか?」
「んん…っ」
「ねえ、坊ちゃん、私の存在を、感じますか?」
「も…う、わかった…から…っ!か、感じる…っ」
幾度目かのうねりのあとで、シエルの中にそれを出してしまっても、セバスチャンは離れようとはしなかった。
自分の存在が、掴めば消えてしまう雪のように、形を亡くすのはごめんだと思った。
「…好きですよ、坊ちゃん」
珍しく、そんな台詞を耳元で囁く。
(チェスには勝っても、結局は、貴方に負けるのですね)
「そういえば、先程ぼんやりされていたのは、どうしてですか?」
「〜っ!!!」
せめて、引き分けくらいには、持ち込みたい。
そっぽを向くシエルに覆い被さり、もう一度、白い口付けを落とした。
END
(2012/11/25 再復帰第一弾…っ)