ReBirth
□ReBirth -06
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12月1日の夜は冷えて、激しく薪のはぜる音が、高い天井付近に静けさを追いやっていた。
孔雀の胸元のようなナイルブルーの上着を脱がせると、崩れる雪のように白いレースの襟が零れた。ブラウスの上から優しく身体を撫でると、小さな突起が絹を持ち上げるのがわかった。
「まだ、わかりませんね」
しばらくその輪郭をなぞった後、執事は急に主人に馬乗りになり、その胸を両手で激しく掴んだ。
「ん…はぁっ…」
ズボンの中で、それがセバスチャンに向けてびくんと跳ねる。自分を全て差し出している、その形がくっきりとし、抵抗など微塵も考えなくなってしまう。
セバスチャンはシエルのブラウスを脱がせると、その白い胸に舌を這わせた。
「嗚呼…美味しい」
「そ…、ん…っ」
充分にその魅力を閲した後で、ズボンに手をかける。
恭しくそれを押し下げる瞬間は、何度目であっても、何か儀式めいた気持ちがした。女の子のようだ、と言われた主人を今夜はからかうつもりでいた筈なのに、その美しい裸体を前にすると、畏怖とも畏敬ともつかない観念に襲われるのだった。悪魔である自分にそんな気持ちを起こさせるものを、シエルという人間は何故持っているのだろう。
顔を上げると、じっとこちらを見ている主人と目が合った。シエルは下になっていたが、セバスチャンがその下腹部に屈んでいるので、その瞳はこちらを見下ろす恰好になっていた。不思議な感動に打たれた。
一度目を閉じて、心の昂ぶりをおさえる。
再び見開いた目に、一糸纏わぬ姿にした自分の主人が映ったとき、身体の中心に一気に熱が集まるのを感じた。
「…骨盤は解剖学的に男性的な特徴を示し、膣口<イントロイウス・ヴァギナエ>、子宮<ウテルス>の存在はなし…勃起能力を有する美物が柔らかい覆いの下に見え、陰茎<メンブルム・ヴィリレ>であることは間違いない」
「や…ぁっ…、そこ…っ」
「…睾丸を診察中、性的興奮を誘起したものらしく、陰茎の震えと少量の精液射出<エヤクラティオ・セミナリス>を認める」
「…っ」
「ということで、判決は…」
自分を取り戻し、薄く笑ってそう言うと、『精液射出<エヤクラティオ・セミナリス>』の産物を指に絡めとった。
唇に乗せ、唾液でより指を濡らし、シエルの中に挿入する。
「は…あ…」
「ついでに、深部肛門反射も正常ですね」
「もう、医者の真似事は…いいからっ…」
「おや、そうですか?…では」
光が滑り落ちるような白い大腿を持ち上げ、取り出した自分のそれをあてがう。
「んああっ…!」
「もっと奥まで、入れられるでしょう?…そう、抗わないで」
「そこ…んっ…はあっ…!」
「ええ、医者などとおこがましい。私はあくまで貴方を貪る、執事ですから」
「セバスチャン…っ、そんなに…、…っ!」
小さな身体を抱え込んで、自らの男の証をその中に打ち付ける。陰茎<メンブルム・ヴィリレ>はこの上なく固く、はちきれそうな程に太く膨隆し、少女のような華奢な主人の内壁を拡げた。
「ああん、はあっ…、アッ…あっ…ああっ」
「柔らかいですね…」
「も…だめ…っ、ああ…っ!」
シエルがもう一度、前よりも多量の『精液射出<エヤクラティオ・セミナリス>』に到達した瞬間、自分の中にあるセバスチャンのそれからはもっと荒々しい奔流が溢れるのを感じた。
「んっ…あ…、…はぁ…っ」
「…」
しばらく、その中にいて、陶酔の余韻に浸っていた。太陽と月が重なる瞬間の、あの特別な風が吹いている気がした。
「…お前の判決は、有罪だ」
ようやく自分を取り戻した主人が、上目遣いにそう言う。セバスチャンは微笑って、顔を近づけて問い返した。
「一体、何の罪でです?」
シエルは答えなかった。
どんな罪も、勲章にされそうな気がした。
END
(2013/7/7 UP)
参考:オスカル・パニッツァ『あるスキャンダル事件』